ステンドドレス

クトゥルフ神話TRPGオリジナルシナリオっス!

ドッペルゲンガーと禁断の果実の続編になるっス!

推奨人数:2人
プレイ時間:ボイセ5時間
時代背景:現代日本
KP難易度:★★★☆☆
PL難易度:★★★☆☆
システム:オープン

<説明>

「⇒」の右に書かれた内容はトリガーっス
トリガーが発生したら次の行の内容で処理するっス
処理内容の範囲はインデントで表現してるっス

1 あらすじ(KP向け)

「ドッペルゲンガーと禁断の果実」シナリオで黒山殊音を助けることに成功した探索者に対して再び黒山殊音から探索者へ向けて依頼が届く。

依頼が届く前の出来事。

四十八坂芒はバンド活動が軌道に乗り始め、音楽会社にスカウトされ初めてマネージャーが付いた。

マネージャーは経営戦略としてもっと万人受けする音楽を作り儲けるように指示するが、四十八坂芒は自らの音楽の方向性を突き進みたいと我を通し、お互いに引かず喧嘩が毎度のように起きるようになった。

マネージャーは自分の指示に従わない四十八坂芒の態度にプライドが傷つき、自分に対しての信奉が足りないと感じ、四十八坂芒を服従したいと思う。

そこで四十八坂芒の昔からのファンであるインスマス顔の男を悪役に引き立て、インスマス顔の男から四十八坂芒を守ることで心から服従させることを計画した。
マネージャーはブラックマーケットを活用して“ファンの醸造酒“の作成キッドを作り、インスマス顔の男宛に送り主不明で送りつけた。

一方、インスマス顔の男は四十八坂芒が路上ライブでまだ売れていない時からのファンで、欠かさずライブに参加するほど熱心なファンだった。

インスマス顔の男は深きものの混血種で年齢と共に自分の身体が醜くなっていくことを気にしていた。しかしそんな悩みも、四十八坂芒をファンとして応援している間だけは忘れることができた。

ある日インスマス顔の男の家に”ファンの醸造酒”の作成キッドと手紙が送られる。

「これを君の好きな四十八坂芒に飲ませてみると良い。君の無茶な希望を聞いてくれるだろう。」

インスマス顔の男は半信半疑で作成キッド内にあるファンの醸造酒の製法に従って作成し、四十八坂芒にライブ後のプレゼント“ウイスキーボンボンのようなお酒入りチョコレート”として飲ませた。

製法には“効果が出るには数日掛かる“と書いてあり、飲ませ始めて2日目になると四十八坂芒の顔が酔ったような表情になり、その間は自分の望むことを嫌がらずに素直に聞き入れるようになった。

インスマス顔の男は今まで四十八坂芒を応援したいという素直な気持ちでファンをしていたが、それをきっかけに邪な気持ちが生まれ、自己の欲望へと変わっていく。
男は芒を自分のものにしたい(結婚)と思うようになる。

四十八坂芒の親友である黒山殊音はライブに呼ばれ、その時のインスマス顔の男とのやり取りを見て違和感を覚え確認するも、四十八坂芒はそれについては無意識であり、黒山殊音自身も確信的なものではなかった。

黒山殊音は仕事が忙しくなり、以前助けて貰った探索者へ“四十八坂芒の様子が変で代わりに見て欲しい”と依頼します。

探索期間は3日間の探索パートは朝・昼・夜・深夜。

探索者は1日目に主要となる四十八坂芒、インスマス顔の男、マネージャーと出会う。

四十八坂芒は毎日ライブハウスで昼に打ち合わせと練習、夜にライブ。深夜に就寝。

インスマス顔の男は結婚に向けて四十八坂芒のウェディングドレスを作る為に、
1日目の夜に四十八坂芒の身体のサイズを測る。
2日目から最終日の昼までウェディングドレスを作成し続ける。
ファンの醸造酒入りチョコも作成し続ける。
1~3日目の夜に行われる四十八坂芒のライブには全て参加する。
深夜に就寝。

マネージャーは深夜にファンの醸造酒用の薬物をブラックマーケットに買いに行き、インスマス顔の男の家にファンの醸造酒キットを投函し続ける。
昼~夜は毎日ライブハウス。
朝に就寝。

3日目最終日の夜になるとインスマス顔の男はライブを終えた四十八坂芒を家へ連れて帰る。家には完成したウェディングドレスがあり、門の創造の呪文を使って「ドッペルゲンガーと禁断の果実」シナリオの教会へ移動する。

インスマス顔の男の家に代々伝わる祝福の唄を四十八坂芒に歌わせる。
祝福の唄は深きものどもが崇拝する「父なるダゴン」、「母なるヒュドラ」、「クトゥルフ」への讃美歌であり、“クトゥルフとの接触”、“クトゥルフの星の落とし子との接触”、“父なるダゴンとの接触”、”母なるハイドラとの接触”、“深きものとの接触”の呪文を織り交ぜられたものである。

ファンの醸造酒によって意識を奪われている四十八坂芒の歌を止めるにはこのインスマス顔の男を殺すか、説得して止めさせるしかない。

インスマス顔の男は深きものへと変貌していく。
インスマス顔の男は自らの血の宿命に失望し、それでも自分の欲望のままにしようという悪意が最高潮に達する。
マネージャーの望む最高の舞台は整った。

探索者はインスマス顔の男を説得する。
マネージャーはインスマス顔の男を絶対に殺そうとする。

無事に説得した探索者は次にマネージャーがすべての元凶であることを指摘する。
マネージャーはネスター教の信者で火を使う。

インスマス顔の男は欲望で満ちていた自分を恥じ、せめてこの代わり果てた姿、鱗の身体と爪は四十八坂芒を守る為に使いたいと決意する。

四十八坂芒を無事に助けた後、すっかり深きものへと変貌してしまったインスマス顔の男に対しても厚い感謝をする。
粘液塗れの身体を気にも留めず、がっしりと抱きついて見せる。

四十八坂芒は深きものへと変貌してしまったインスマス顔の男にマネージャーにならないかと持ちかける。
初期から自分のことを応援し続けているインスマス顔の男ほど向いている人間はいない。

インスマス顔の男の身体から徐々に鱗と爪が引き、インスマス顔の男は元の身体に戻る。

その後、四十八坂芒の衣装を作り、営業に回ったりと忙しそうにしているインスマス顔の男は、マネージャーとして生き生きており、どこかその男の顔は誰よりも格好良く見えた。

2 募集要項

推奨人数:2人
プレイ時間:ボイセ5時間
時代背景:現代日本
シナリオ:オープン
ロスト:可能性あり
必須技能:戦闘技能
推奨技能:交渉技能、<心理学>
戦闘:あり
PLの条件:「ドッペルゲンガーと禁断の果実」シナリオで黒山殊音を助けることに成功した探索者
更にその探索者の同僚、友人。(黒山殊音の友達である探索者の友達等)
紹介文:黒山殊音から友人の四十八坂芒の様子がおかしいので代わりに見てきて欲しいと頼まれ、都会のS区へと向かいます。

 

3 登場人物

3.1 黒山 殊音(くろやま ことね)


関係:今回の依頼者
性別:女性 年齢:20 職業:魔女を愛してやまないオカルト作家
HP:12 MP:8 SAN:40 ダメージボーナス:0
STR:7 DEX:5 INT:11 CON:10 APP:17 POW:8 SIZ:13 EDU:20
アイディア:55 幸運:40 知識:99
技能:<運転(自動車)>50 <オカルト>80 <芸術(文才)>83 <芸術(演技)>70 <精神分析>50 <図書館>90 <他の言語(英語)>50 <他の言語(ラテン語)>50 <目星>80

3.2 四十八坂 芒(よそやさか すすき)


関係:今回の依頼者(黒山 殊音)の友人。
性別:女性 年齢:20 職業:ミュージシャン
HP:15 MP:15 SAN:75 ダメージボーナス:0
STR:8 DEX:15 INT:16 CON:15 APP:17 POW:15 SIZ:15 EDU:15
アイディア:80 幸運:40 知識:75
技能:<応急手当>65 <聞き耳>85 <芸術(音楽)>85 <信用>65 <精神分析>50 <跳躍>70 <投擲>70 <他の言語(英語)>70 <目星>70

3.3 阿波井 深詞(あわい しんじ)


関係:四十八坂芒の大ファン。インスマス顔の男。深きものの混血種。
性別:男性 年齢:30 職業:テーラー
HP:18 MP:18 SAN:45 ダメージボーナス:1D4
STR:14 DEX:18 INT:12 CON:18 APP:4 POW:18 SIZ:13 EDU:12
アイディア:60 幸運:90 知識:60
武器:なし
装甲:固い鱗1ポイント。
技能:<製作(裁縫)>80 <経理>75 <信用>60 <目星>70 <製作(料理)>75 <オカルト>65
呪文:門の創造、父なるダゴンとの接触、母なるヒュドラとの接触
SANチェック:深きものへ変貌した場合は1/1D6+1。

3.4 烏賀陽 光太(うがや こうた)


関係:四十八坂 芒のマネージャー。
性別:男性 年齢:35 職業:マネージャー
HP:13 MP:11 SAN:0 ダメージボーナス:1D4
STR:11 DEX:18 INT:14 CON:12 APP:12 POW:11 SIZ:15 EDU:15
アイディア:70 幸運:55 知識:75
技能:<経理>85 <物理学>80 <化学>79 <生物学>60 <オカルト>60 <図書館>60 <他の言語(英語)>60 <聞き耳>60 <目星>60
呪文:ファンの醸造酒の製法(キーパーコンパニオンP88)、炎の精の招来と従属
その他:ネスター教団の末端となる団体に所属

3.5 炎の精

HP:4 MP:13 ダメージボーナス:-
STR:- DEX:16 INT:10 CON:7 APP:- POW:13 SIZ:1 EDU:-
技能:<タッチ>85 火傷+MP吸収
※火傷:2D6の火傷と相手のCON対抗。CON対抗に成功で半分のダメージ。CON対抗に失敗でそのままのダメージ。
※MP吸収:炎の精と相手MPで対抗し、成功で炎の精のMPが-1。失敗で1D10のMPを吸い取る。
装甲:物理攻撃0ダメージ。水2リットルで1ダメージ。バケツ1杯の砂で1D3ダメージ。消火器で1D6ダメージ。
補足:基本ルールブック(P191)

 

4 マップ

4.1 K木町

4.2 黒山殊音の家

4.3 S区

PL用

KP用

4.4 阿波井深詞の家

4.5 阿波井深詞の家の地下室

4.6 教会1階

4.7 教会2階

4.8 教会3階

5 アイテム

なし

6 導入

探索者の元に一通の封筒が届きます。
封筒の中身は手紙が入っており、以下の文が書かれています。

『先の件はありがとうございました。お陰さまで友人と仲直りすることができました。
町の方々とも徐々に打ち解けられ、仕事の方も比例して忙しさを取り戻して元の日常を迎えられています。
実はまた折り入ってお願いしたいことがあります。もし良かったら家で美味しいお茶菓子を用意するので相談に乗って頂けませんか。 黒山 殊音』

⇒黒山殊音の家に向かう

黒山殊音「皆さんお久しぶりです。お待ちしていました、どうぞお入りください。」
そう言ってリビングへと探索者達を通します。
黒山殊音「どうぞ座ってください。簡単な飲み物ならありますけど何にしますか?」
黒山殊音「突然お呼び立てしてすみません。皆さんは最近生活に変化とか面白い事とかありました?変わらず過ごしていると言ったところですか?」(雑談)

⇒黒山殊音の生活について聞かれた場合

黒山殊音「皆さんのお陰で元の日常を迎えられていますよ。とても感謝しています。あれから仕事が捗ってしまってうちで本を出してくれとか、大量に依頼が来るようになりまして、断るのも申し訳ないなと思って受け続けていたら…こんなことになっていました。」
黒山殊音が書斎と書かれた部屋のドアを開けると部屋一面が山のように積もった書類が敷き詰まっているのが見えます。

黒山殊音「本題に入りますね。そのお願いしたいことというのは私の友人の四十八坂芒の様子を代わりに見てきて欲しいなと思いまして」

以前の探索時に渡された女の子の写真が入った別のCDが手渡されます。

黒山殊音「気のせいであれば良いのですが、その友人である四十八坂芒の様子に違和感を覚える時があります。
以前はソロ活動をしていたのですが、最近新しくマネージャーが付いたらしく彼女自身も忙しくなったようで、きっとそのせいではないかと言われたのですが、やはりそれでも友人として心配が拭えず、一度そう言われた私が出しゃばったところで迷惑だと思いますし、私に変わって彼女の様子を窺ってきて頂きたいのです。
貴方達なら違和感の正体が分かると期待しています。引き受けて頂けますか?」

黒山殊音「そう言って頂けると思っていました!友人は都市部で活動していまして、近くのビジネスホテルを私の名義で2泊3日借りてあります。
あと、友人のライブチケットをお渡ししますね。
15時開場、16時開演になります。
ここからですと、友人が活動している都市まで3、4時間ぐらい掛かるので、今から出て、ホテルにチェックインしてから開場に向かうと調度良いと思います。
急かして申し訳ないのですが早速向かって頂けますか。」

⇒黒山殊音に伝えられた都市に向かう。

3、4時間掛けてS区のS駅に到着します。

7 探索1日目(ほぼ強制イベント)

※1日目のスケジュール

S駅の改札を抜けると前には黒山殊音が借りたビジネスホテルがあるのが見えます。

7.1 ホテル

⇒ホテルに行く場合

無機質なビルの正面にはネオンで目立つように「Aba(アバ)ホテル」と書かれています。正面に自動ドアがあります。

7.1.1 フロント

清掃が行き届いた白い床と壁に囲まれたフロントには黒のスーツと白手袋を身に纏った男性のホテルマンが立っています。

⇒初の入店

ホテルマンは探索者に気が付くと
フロント「いらっしゃいませ。ご予約はありますか?」

⇒黒山殊音で予約してある旨を伝える。

フロント「黒山殊音様ですね、伺っております。こちらのお部屋になります。」
フロントから部屋の鍵を手渡されます。
フロント「お食事は軽食となりますが食堂にて、朝食6-10時、夕食17-21時にご用意させて頂いております。」

⇒2回目以降

ホテルマンは探索者に気が付くと
フロント「おかえりなさいませ。」
と深く礼をします。

7.1.2 部屋

部屋は白と茶をベースとした質素な色合いで落ち着きのある空間となっています。寝室、浴室、トイレがあります。寝室にはベッド、電話、テレビ、新聞が置いてあります。

⇒新聞を読む

新聞に目を通すと気になる記事を見つけます。

『今月に入って12人目の焼死体。
S区は死亡者件数が上昇傾向にある。その理由は焼死体となって発見される死亡事故が多い為だ。
警察の会見によるとこれらは争った形跡も遺書もなく、全て事故死という扱いとなっている。
目撃者によると宙に突然火の粉が上がり、それが人に触れて発火したとのこと。
被害は絶えず、原因究明を求められているが未だに原因の特定には至っていないようだ。』

7.1.3 食堂

ドアプレートには食堂と書かれた扉があります。

⇒食堂と書かれた朝食6-10時、夕食17-21時にきた場合

扉を開けるとテーブルと椅子が並べられており、ビュッフェ形式でパンやスープ、焼き魚や卵料理等が置いてあります。

⇒それ以外の時間にきた場合

扉を開けるとテーブルと椅子が並べられており、自分でお湯を注いで作るインスタントの緑茶・紅茶・コーヒーのパックとポットが置いてあります。

7.2 ライブ会場

7.2.1 ライブ会場前

ライブ会場に着くと「ライブハウス 烈閃-Retsen-」と書かれた看板を掲げる建物が見つかります。入口には受付の係員がいます。

すると探索者達の後ろから女性の声が聞こえます。

四十八坂芒「あれ?どこかで見たと思ったら殊音の恩人じゃないか?」

振り返ると四十八坂芒がいます。

四十八坂芒「あー!やっぱり!実は人違いなんじゃないかってドキドキしてたんだよ!その説はどうもありがとう!」

四十八坂芒「調度飲み物が欲しくなってコンビニ行って戻ってきたところでさ、こんなところに居るってことはもしかして私のライブ見に来てくれたの?」

四十八坂芒「楽しませて見せるよ。そうだ、ライブが終わったら話でもしよう。ライブが終わったら建物の裏側に裏口があるからそこで待ってて!あ、やば!ライブの準備もあるから先に中に失礼するよ。」

そういうとそそくさと建物の中に入って行きます。

⇒受付して建物の中に入る

受付「チケットを拝見します。」

⇒チケットを見せる

受付の人はパチンと音を立ててチケットを挟むと今日の日付が刻まれます。
受付「はい、お通りください。」

7.2.2 ライブ会場内

建物に入ると地下へと続く階段があり、下って行くと大きな部屋があり、正面には舞台があります。
舞台の両サイドには巨大な音響スピーカー、天井や壁に沿って照明器具が置かれています。
周りには観客が疎らにおり、長足の椅子やテーブルが置かれています。

⇒マネージャーについて聞く

ファン「芒ちゃんを支援したいってマネージャーが付いたみたいなんだよね。以前はソロ活動していたのをスカウトしてきたみたい。マネージャーが付いてから大衆向けの曲が増えて、芒ちゃんらしさが減ってきたかな。けどファンは増えつつあるみたいだから、たくさんの人に芒ちゃんの曲が受け入れられて嬉しい半分悲しいと思うところもあるよ」

⇒周りの人に四十八坂芒について聞く

ファン「ここ最近、芒ちゃんに彼氏疑惑がファンの間で話が上がったりしてるよ。芒ちゃんは彼氏いませんって公言してるし、俺は芒ちゃんを信じてるよ。そ、そもそも俺は芒ちゃんの音楽性が好きで通ってるから彼氏ができようが関係ないけどね!」

⇒彼氏について聞く

別のファンが数人近寄って話に割り込んできます。

ファン「俺…見ちゃったんだ。ある日、芒ちゃんがライブ終わった後に男と裏道に入って行くところを…。相手の顔は見えなかったけど、芒ちゃんがその男にべったりしちゃってさ。け、けどTwitterで彼氏いないって言ってるし多分俺の見間違えだと思うんだよ…。」

ファン「彼氏とは違うと思うけど、あそこ、ライブの最前席にいる男。あの男は毎回芒ちゃんのライブにいる熱狂的なファンっぽくてね。俺の意識しすぎかもしれないけど、ここ最近芒ちゃんがやたらとあの男にファンサービス過剰に見えるんだよね。芒ちゃんの視線が良くあの男を向いたりするような、そんな気がしちゃうんだよね。」

⇒最前列の男(阿波井深詞)に話しかける

最前列の男に話しかけようとするとスポットライトは舞台を照らし、ライブが始まります。

7.2.3 ライブ開始

四十八坂芒「皆!お待たせ!私のライブをはっじめるよ~!」
イントロのギターをかき鳴らしながらライブが始まります。
パフォーマンスも飛んだり跳ねたりしてライブはますます熱を帯びていきます。

⇒最前列の男を見る場合

探索者が最前列の男に注目していると、時折声をかけているように見えますが、周りの激しい音で男の声が上手く聞き取れません。

⇒<聞き耳>または最前列の男に近づく

阿波井深詞「芒たん手を振って~!!」

四十八坂芒は最前列の男に向かって手を振っているように見えます。

⇒更に注目する

阿波井深詞「芒たんウインクして~!!」

四十八坂芒は最前列の男に向かってウィンクをしているように見えます。
ライブは終盤を迎え最後の曲を終えます。

四十八坂芒「皆、楽しんでくれたかな?来てくれてありがとう!」

手を振り、そういうと四十八坂芒はステージの袖に履けていきます。

阿波井深詞「アンコール!アンコール!」

最前列の男がそういうと次第に周りも一緒になって「アンコール」と声が上がります。

四十八坂芒「アンコールありがとう!次が最後の1曲、私も皆も燃え尽きよう!」

最後の1曲が始まり、ライブは無事に終わります。

アナウンス「本日のライブは終了致しました。忘れ物がないように御帰りください。」
ライブ終了のアナウンスが流れます。

受付の前では四十八坂芒がライブを見に来たファンに一人一人握手をして見送っています。

探索者が同じように受付を通ると四十八坂芒は握手をして、小声で
四十八坂芒「裏口でね。」
と伝えてきます。

7.2.4 ライブ会場裏口

建物の裏口に行くと、“主催者用搬入口―関係者以外立ち入り禁止―”と書かれたドアを見つけます。
そこには先ほどの最前列の男がいます。

⇒男に話しかける

阿波井深詞「僕の名前は阿波井深詞、芒たんファンの古参ですぞ。君たちは…初見ですかな?」

⇒四十八坂芒の友達であることを伝えた場合

阿波井深詞「芒たんのご友人ですか!よろしくですぞ!」
と言って汗でベタつきそうな手で握手を求めます。

そうしてやり取りをしていると主催者用搬入口と書かれたドアが開き、四十八坂芒が出てきます。

四十八坂芒「やっほー!お待たせ探索者さん!阿波井さんも来てくれたんだ!」

阿波井深詞「今日も芒たんが好きなチョコを持ってきましたぞ!」
そういうと阿波井深詞は鞄から小包装された一口サイズのチョコを四十八坂芒に手渡します。

四十八坂芒「わ~!ありがとう!私これ好きなんだ~!」
そういうと受け取ったその場で包装を解いてチョコをぱくっと食べます。

四十八坂芒「このチョコの中にお酒が入ってて、後からじんわり効いてきて美味しいんだ~!」
美味しそうに頬張っています。

阿波井深詞「本当は芒たんの為だけに作ってきたんだけども、お友達ってことで折角だから、皆さんも如何ですかな?」

⇒断る場合

四十八坂芒「あら、要らないなら私が貰うよ!」
そういうと手を出し
四十八坂芒「んん~~!んまぁ~~い!!」
と言いながらパクパクと食べます。

⇒貰う場合

阿波井深詞「お裾分けですぞ!」

そういうと小包装された一口サイズのチョコを1つ手渡します。

阿波井深詞「どうぞどうぞ、僕の自信作ですぞ!」

⇒食べる場合

チョコは舌の温度で滑らかに溶けて口の中をチョコの味で満たします。
すると溶けたチョコの中からお酒が流れ出し、お酒の匂いはチョコの香りを巻き込んで鼻孔をチョコの匂いで満たします。
食べ終わるとお酒が効いて身体の芯からじんわりと温めていき、心は穏やかになっていきます。(SAN値+1)

阿波井深詞「手作りだから数は少ないし、これで今日は終わりですぞ。」
※KPは食べた探索者を覚えておいてください。終盤の誘拐イベントで使います。

チョコを食べ終わると阿波井は芒に向かって言います。

阿波井深詞「それじゃ芒たん、身体のサイズを測らせて欲しいんですぞ。」

四十八坂芒「もちろん良いよ!」
嫌な顔せずに四十八坂芒は二つ返事で了承します。
それを聞いて阿波井はポケットからメジャーを取り出し、サイズを測り始めます。

⇒探索者も測らせて欲しいと言う場合

四十八坂芒「へ?ダメに決まってるでしょ!」
と真剣な面持ちで言われます。

⇒阿波井は良いのか追及した場合

四十八坂芒「当然でしょ!何言ってるの?」
※阿波井が行う動作は全て肯定する

阿波井は四十八坂芒のスリーサイズや身体の至る所をメジャーで測りながら話します。

阿波井深詞「この間、凄く良いところを見つけたんですぞ!今度連れて行ってあげるんですぞ!連れてって欲しいですかな?」
四十八坂芒「もちろん、連れてって!」

そうしていると主催者用搬入口と書かれたドアが開き、スーツ姿の男(烏賀陽光太)が出てきます。

烏賀陽光太「こら!うちの芒に何をしているんですか!さっさと離れなさい!」

その声に阿波井はビックリして測るのを止め、走り去っていきます。
探索者は<聞き耳>を振ります。

⇒<聞き耳>に成功した場合

去り際に阿波井が
阿波井深詞「芒たんは僕のになるんですぞ。」
と言ったのを聞き取れます。

四十八坂芒「阿波井さんは何も悪い事してないでしょ?そうやって私の大切な人を怒鳴るの止めてよ!」

烏賀陽光太「あの男には気を付けるように言っているではないですか。サイズなど計らせて、あの男の行動は日に日にエスカレーションしているのに気が付いていますか。何かあってからでは遅いんですよ。」

四十八坂芒「何かって何?阿波井さんはそんなことしない!」

烏賀陽光太「はぁ…私は注意しましたからね。」
スーツ姿の男は探索者の方を向きます。

烏賀陽光太「貴方達も困りますよ。この文字が見えないんですか?関係者以外立ち入り禁止と書かれているでしょう。」

四十八坂芒「この人たちは私の恩人で、大切な友人だから私が呼んだの!」

烏賀陽光太「…まぁ、貴方達はあの男と違ってまだまともそうですし、今回は目を瞑っておきましょう。」

スーツ姿の男は探索者の肩をぽんぽんと叩き、耳元で囁きます。
烏賀陽光太「しかしあの男のようにうちの芒をたぶらかすような真似はしないで頂きたい。」

四十八坂芒「ん?今、何か変なこと吹き込んだでしょ!」

烏賀陽光太「いいえ。私が注意しても聞く耳を持たないようですから、代わりに芒さんを見てて貰えないかとお願いしただけですよ。」

烏賀陽光太「私はまだやる事が残っていますので失礼します。」

そういうと主催者用搬入口と書かれたドアを開けて入っていきます。

四十八坂芒「はぁ…皆ごめんね。この間のお礼も兼ねてご飯奢らせてよ。食べたいものとか行きたいところとかってある?」

⇒案があった場合
⇒行きたいところがある場合

四十八坂芒「オッケー!そこなら阿波井さんが連れてってくれたから場所分かるよ」
※値が張る店であれば「容赦ないな~」とか茶化しても面白い。

⇒食べたいものがある場合

四十八坂芒「それだったら、阿波井さんが連れてってくれた美味しい○○料理のお店が近くにあるんだけど行ってみる?」

⇒案がなかった場合

四十八坂芒「海鮮料理はどう?」

四十八坂芒「阿波井さんが連れてってくれた美味しい魚料理のお店が近くにあるんだけど行ってみる?」

四十八坂芒「お店の名前何だと思う?…魚々苑(ぎょぎょえん)って名前なの!テレビで良く聞く某焼き肉店みたいだよね~!」

場所が決まると先頭を切って歩き出します。

7.3 路地裏

少しすると、ビルとビルの間に挟まれた脇道に入っていきます。
四十八坂芒「この裏道を通るとショートカットになるんだ!折角の客人だし良い席取りたいからね!」

突き進んでいくと特攻服を着た如何にもヤンキーな男が現れ四十八坂芒に近づいてきます。

ヤンキー「おいおい、可愛いのが居るじゃねえか。調度ブラックマーケットで良いブツ買ったところなんだ。俺と今晩キメねえか?」
と四十八坂芒の腕を掴みます。

四十八坂芒「ちょっと離して!私達急いでるの分かるでしょ!」
四十八坂芒は振り解こうとしてますが、がっちり掴まれて振り解けそうにありません。

⇒交渉技能を使う

ヤンキー「けっ、今回は見逃してやるよ。」

⇒戦闘技能を使う場合

ヤンキー「痛ってえな。くっそ、覚えてろよ。」
ヤンキーは四十八坂芒の腕を離して去って行きます。

四十八坂芒「まさか絡まれるなんてね…。ありがとう!流石殊音の恩人、頼りになるよ~!」

⇒<心理学>や<目星>

気丈に振る舞ってますが、身体が強張っているのに気が付きます。

7.4 飲食店

そこから時間もそう掛からずに裏道を抜け、大きな通りに出ると同時に、すぐ近くにお店の看板が見えます。

四十八坂芒「着いた!ささ、入って入って!」
と四十八坂芒はお店の中に入って行きます。

店員が席に案内し、少し時間を置いて伝票を持ってきます。
店員「ご注文何にします?」

(注文を受ける)

注文を受けてしばらくすると頼んだ品が運ばれてきます。

店員「お待たせしました。ごゆっくりお楽しみください。」

四十八坂芒「殊音を助けて、私も助けてくれた恩人に~乾杯~!」

飲み食いしながら雑談します。

⇒スーツの男(烏賀陽光太)について聞く

四十八坂芒「名前は烏賀陽光太(うがやこうた)って言って、烈閃って名前のプロダクション会社のマネージャーで、今は私のマネージャーをやってくれてる人だよ。
私の地元に用事があって寄った時に一目惚れしたとか言ってスカウトしてきたんだよね~。」

四十八坂芒「急に一目惚れとか言われて、告白されるのかと思ってテンパっちゃったよ~!」

四十八坂芒「マネージャーらしく仕事熱心なんだけどさ、私の曲にケチつけてもっと万人受けする曲を作れとか、交友関係にまで口出してくるし、会社の意向を押し付けてくるばっかりで私と向き合ってくれてないなって思っちゃうんだよね」

四十八坂芒「だけど、前よりも私の曲を聞いてくれる人が増えたのも事実。だからマネージャーが悪いなんて思ってないよ。」

⇒阿波井深詞について聞く

四十八坂芒「阿波井深詞(あわいしんじ)って名前でね、私が初めてライブをした時から居るお客さんだよ。
私の歌を聞いてると元気が出るって言ってくれて、私もそれを聞いて元気を貰ってるよ。」

四十八坂芒「好きとか嫌いとかそういうんじゃないんだけど、何だろう、でも特別な存在っていうのは確かかな。」

⇒他に聞きたいことがない場合

四十八坂芒「あ、そうだ!連絡先交換しよう!」
※LINEでも電話番号メールでも

雑談をしながら食事を終えると、四十八坂芒が精算を済ませます。

お店から出ると四十八坂芒は探索者の方を向きながら
四十八坂芒「夕飯急に誘っちゃったのに付き合ってくれてありがとうね。夜も遅いし帰ろっか」
すると突然四十八坂芒身体が崩れ落ちます。

四十八坂芒が倒れたことで後ろに立っていた人物が露になります。
そこには先ほどのヤンキーがスタンガンを構えて立っています。

⇒交渉技能で退いていた場合

ヤンキー「どうも、気が変わってね」

⇒戦闘技能で退いていた場合

ヤンキー「さっきはよくもやってくれたな」

いつの間にか特効服を着た別のヤンキーがぞろぞろと探索者達を囲っています。
四十八坂芒を別のヤンキーが抱えます。

ヤンキー「ちょっと面貸せよ。抵抗したらスタンガンをこの女に更に押し当てるからな。」

従っていると裏路地へ入って行き、袋小路になっている場所に連れて行かれます。

7.5 袋小路

袋小路に探索者、取り巻きヤンキー集団、そこから少し距離を置いて倒れている四十八坂芒とヤンキーがいる状態です。

ヤンキー「そこに並べよ、ナメられたままだと様にならないからな。分かってると思うが抵抗するなよ。」

取り巻きヤンキーがメリケンサックを目の前で付け、探索者の前へジリジリと歩いてきます。

⇒〈目星〉を降って貰う

にじり寄ってくる取り巻きヤンキーの後ろに小さな火の粉がフワフワと浮いているのが見えます。

取り巻きヤンキー「へへ、覚悟しろよ…って熱!?」

そう言うと、取り巻きヤンキーの身体が炎上します。

複数人いた他の取り巻きヤンキーも同じように次々と炎上していきます。

彼らは火を消そうとのたうち回りますが消えることはなく皮は爛れ人の形をした炭へと変わって行きます。焼き焦げた肉の臭い、ベタつく空気が探索者の目の前に広がります。凄惨な人の死を目撃した貴方はSANチェック(1/1D6)

四十八坂芒を抱えていたヤンキーは、四十八坂芒をその場に置いて血相を変えて逃げて行きます。

ヤンキー「ひっひええあああああ!」

ヤンキーが逃げた先にも火の粉が現れフワフワとヤンキーの方へと飛んでいきます。火の粉はヤンキーの前後の行く道を抑え囲います。
火の粉がフワフワと同時にヤンキーの体に触れると、身体は一気に燃え上がります。轟々と燃える炎の音と奇声が探索者の耳に残ります。
人の形をした炭の人形は膝を崩し倒れ込みます。常軌を逸した現象を目の当たりにした探索者はSANチェック(0/1)

火の粉はふっと消えます。

駆け寄る足音が聞こえ、聞き覚えのある声が聞こえてきます。

烏賀陽光太「芒!大丈夫か!?」

袋を持った烏賀陽光太が駆け寄ってきます。

烏賀陽光太「良かった、怪我はなさそうだ。」

烏賀陽光太「たまたま店に寄った帰りにチンピラに絡まれてるところを見かけて来たんだが……。」

烏賀陽光太は周りを見回し、黒い何かを見つめます。

烏賀陽光太「この惨状は何だ!?例の事件か!?」

⇒<心理学><アイディア>を振った場合

『事件』という発言に違和感を感じます。

烏賀陽光太「ここは私が警察に連絡しましょう。芒がこの場に立ち会っていたとなるとイメージが悪くなるので、探索者達は芒を連れて離れてください。」

⇒特に指定がない場合

元居た飲食店の通りに引き返します。

四十八坂芒が目を覚まします。
四十八坂芒「あれ…私、寝てた?ごめん、見苦しいところを見せちゃったね、今日は疲れてるみたい。ははは…。」
四十八坂芒「私の家こっちなんだ。探索者はどうするの?」

⇒ホテルに帰る場合

四十八坂芒「そっか、それじゃ今日はありがとうね!またライブ見にきてよ!」
四十八坂芒「都会に来たからって羽目はずさないようにね!」
悪戯な笑顔を向けて大手を降って別れます。

⇒家について行く場合

四十八坂芒「心配掛けさせちゃってるみたいですまないね。住み慣れてる私がエスコートしてあげたいところなんだけど、お願いしようかな!」
四十八坂芒「見送り狼とかしちゃダメだぞ~!」
悪戯な笑顔を向けます。

※以降は3日目の誘拐イベントまで自由行動になります。

8 探索パート(2~3日目誘拐まで)

※2日目のスケジュール

※3日目のスケジュール

8.1 ホテル

無機質なビルの正面にはネオンで目立つように「Aba(アバ)ホテル」と書かれています。正面に自動ドアがあります。

8.1.1 フロント

清掃が行き届いた白い床と壁に囲まれたフロントには黒のスーツと白手袋を身に纏った男性のホテルマンが立っています。

⇒初の入店

ホテルマンは探索者に気が付くと
フロント「いらっしゃいませ。ご予約はありますか?」

⇒黒山殊音で予約してある旨を伝える。

フロント「黒山殊音様ですね、伺っております。こちらのお部屋になります。」
フロントから部屋の鍵を手渡されます。
フロント「お食事は軽食となりますが食堂にて、朝食6-10時、夕食17-21時にご用意させて頂いております。」

⇒2回目以降

ホテルマンは探索者に気が付くと
フロント「おかえりなさいませ。」
と深く礼をします。

8.1.2 部屋

部屋は白と茶をベースとした質素な色合いで落ち着きのある空間となっています。寝室、浴室、トイレがあります。寝室にはベッド、電話、テレビ、新聞が置いてあります。

⇒新聞を読む

新聞に目を通すと気になる記事を見つけます。
『今月に入って12人目の焼死体。
S区は死亡者件数が上昇傾向にある。
その理由は焼死体となって発見される死亡事故が多い為だ。
警察の会見によるとこれらは争った形跡も遺書もなく、全て事故死という扱いとなっている。
目撃者によると宙に突然火の粉が上がり、それが人に触れて発火したとのこと。
被害は絶えず、原因究明を求められているが未だに原因の特定には至っていないようだ。』

8.1.3 食堂

ドアプレートには食堂と書かれた扉があります。

⇒食堂と書かれた朝食6-10時、夕食17-21時にきた場合

扉を開けるとテーブルと椅子が並べられており、ビュッフェ形式でパンやスープ、焼き魚や卵料理等が置いてあります。

⇒それ以外の時間にきた場合

扉を開けるとテーブルと椅子が並べられており、自分でお湯を注いで作るインスタントの緑茶・紅茶・コーヒーのパックとポットが置いてあります。

8.2 2日目朝~ライブが始まるまで

※何もイベントは発生しません。KPから「ライブの時間までは何もありませんが、何かしたいことありますか?」と聞いて処理する。

⇒ライブ会場内でファンの話を聞き逃していた場合

街中で昨日四十八坂芒のライブ会場内で見かけたファンのグループが歩いているのを見かけます。

⇒マネージャーについて聞く

ファン「芒ちゃんを支援したいってマネージャーが付いたみたいなんだよね。以前はソロ活動していたのをスカウトしてきたみたい。マネージャーが付いてから大衆向けの曲が増えて、芒ちゃんらしさが減ってきたかな。けどファンは増えつつあるみたいだから、たくさんの人に芒ちゃんの曲が受け入れられて嬉しい半分悲しいと思うところもあるよ」

⇒周りの人に四十八坂芒について聞く

ファン「ここ最近、芒ちゃんに彼氏疑惑がファンの間で話が上がったりしてるよ。芒ちゃんは彼氏いませんって公言してるし、俺は芒ちゃんを信じてるよ。そ、そもそも俺は芒ちゃんの音楽性が好きで通ってるから彼氏ができようが関係ないけどね!」

⇒彼氏について聞く

別のファンが数人近寄って話に割り込んできます。

ファン「俺…見ちゃったんだ。ある日、芒ちゃんがライブ終わった後に男と裏道に入って行くところを…。相手の顔は見えなかったけど、芒ちゃんがその男にべったりしちゃってさ。け、けどTwitterで彼氏いないって言ってるし多分俺の見間違えだと思うんだよ…。」

ファン「彼氏とは違うと思うけど、いつもライブの最前席にいる男。あの男は毎回芒ちゃんのライブにいる熱狂的なファンっぽくてね。俺の意識しすぎかもしれないけど、ここ最近芒ちゃんがやたらとあの男にファンサービス過剰に見えるんだよね。芒ちゃんの視線が良くあの男を向いたりするような、そんな気がしちゃうんだよね。」

8.3 ライブ会場(2日目以降)

8.3.1 ライブ会場前

「ライブハウス 烈閃-Retsen-」と書かれた看板を掲げる建物が見つかります。
入口には受付のスタッフがいます。

⇒受付のスタッフに四十八坂芒について聞く

受付「芒ちゃんは健気でいい子よね~。元気を振りまいてるって感じの子よね~。」

⇒受付のスタッフに阿波井深詞について聞く

受付「芒ちゃんの大ファンみたいね。」

⇒受付のスタッフに烏賀陽光太について聞く

受付「このライブハウスに事務所があって、その社員でマネージャーをやってる方ね。事務所で寝泊まりしてるみたいね。」

⇒夜中に見かけたことについて

受付「ライブ終わってから1時間くらい経った20時に毎日出かけてるわね。私達スタッフはフロアの片付け、清掃をしてる時にいつも席を外しますって言って居なくなるわ。どこに行ってるのかは分からないわね。」

⇒受付して建物の中に入る

受付「チケットを拝見します。」

⇒チケットを見せる

受付の人はパチンと音を立ててチケットを挟むと今日の日付が刻まれます。

受付「はい、お通りください。」

8.3.2 ライブ会場内

建物に入ると地下へと続く階段があり、下って行くと大きな部屋があり、正面には舞台があります。
舞台の両サイドには巨大な音響スピーカー、天井や壁に沿って照明器具が置かれています。
周りには観客が疎らにおり、長足の椅子やテーブルが置かれています。

⇒周りの人にマネージャーについて聞く

ファン「烏賀陽マネージャーのことね。昨日、深夜に裏道からライブ会場に戻って行くのを見かけたよ。」

⇒何時くらいに見かけたか聞く

ファン「結構夜が更けてたし23時くらいかなぁ。紙袋持ってたなぁ。」

ファン「烏賀陽マネージャーは職場で寝起きしてるって受付のスタッフに聞いたよ。仕事忙しいのかね。その甲斐あってかマネージメントの実力は確かだね。」

⇒周りの人に四十八坂芒について聞く

ファン「芒ちゃん疲れてるのかな。長く見てる僕だから分かるけど、無理して笑顔作ってるよね。」

⇒周りの人に阿波井深詞について聞く

ファン「意外と手先が器用らしくて、オーダーメイドで服を作って生活してるって噂を聞いたな。」

ファン「僕も古株だけど、僕がファンになるよりずっと前からいるし、一体いつからいるんだろうね。」

⇒メジャーを使ってた事を伝える

ファン「何!?ということは、芒ちゃんのスリーサイズやら胸のサイズを知ってるのか!?羨ましい!」

⇒阿波井深詞に話しかける

阿波井深詞「やや!これは芒たんのご友人!今日もいらっしゃるとは友人想いですな!」

阿波井深詞「チョコはライブ終わった後に芒たんと会ってからあげるんですぞ!」

※KPは頃合いを見て「ライブ開始」にいく

8.3.3 ライブ開始

ライブの開始時間が来たのか、スポットライトは舞台を照らします。
四十八坂芒「皆!お待たせ!私のライブをはっじめるよ~!」
イントロのギターをかき鳴らしながらライブが始まります。
パフォーマンスも飛んだり跳ねたりしてライブはますます熱を帯びていきます。

⇒阿波井深詞を見る場合

探索者が阿波井深詞に注目していると、時折声をかけているように見えます。
周りの激しい音が男の声をかき消す。

⇒<聞き耳>または阿波井深詞に近づいている、近づく場合

阿波井深詞「芒たん手を振って欲しいんですぞ~!!」

四十八坂芒はその声を聞いて阿波井深詞に向かって手を振っているように見えます。

⇒更に注目する

阿波井深詞「芒たんウインクして欲しいんですぞ~!!」

四十八坂芒は最前列の男に向かってウィンクをしているように見えます。

⇒鳥賀陽光太と会ってから初めてのライブの場合

ライブ中に探索者の肩をポンポンと叩かれます。

振り向くとマネージャーの烏賀陽光太がいます。

烏賀陽光太「どうも、皆さん。少しお話があります。」

烏賀陽光太「あの男、阿波井深詞についてですが、家が判明しまして、窓から中を覗くと怪しい薬を調合しているのを見かけました。
やはりあの男はかなり怪しいので引き続き警戒をお願いします。」

⇒この発言に対して<心理学>を振る場合

想像で話しているような違和感を覚えます。※何処で作っているのを見たかが抜けている。

⇒この発言に対して覗いた先にあった『場所』について聞いた場合

烏賀陽光太「手元しか見えなかったもので、部屋については分かりません。」

ライブは終盤を迎え最後の曲を終えます。

四十八坂芒「皆、楽しんでくれたかな?来てくれてありがとう!」

⇒3日目の場合

次章の『誘拐イベント』へ飛ぶ

手を振り、そういうと四十八坂芒はステージの袖に履けていきます。

阿波井深詞「アンコール!アンコール!」

阿波井深詞がそういうと次第に周りも一緒になって「アンコール」と声が上がります。

四十八坂芒「アンコールありがとう!次が最後の1曲、私も皆も燃え尽きよう!」

最後の1曲が始まり、ライブは無事に終わります。

アナウンス「本日のライブは終了致しました。忘れ物がないように御帰りください。」
ライブ終了のアナウンスが流れます。

受付の前では四十八坂芒がライブを見に来たファンに一人一人握手をして見送っています。

探索者が同じように受付を通ると四十八坂芒は握手をします。

四十八坂芒「今日も来てくれたんだ!嬉しいよ!ありがとう!」

※もしもライブが終わってもなかなか外に出ない場合は烏賀陽光太が現れて、退出するように注意します。

8.3.4 ライブ会場裏口

建物の裏口に行くと、“主催者用搬入口―関係者以外立ち入り禁止―”と書かれたドアがあります。

⇒ドアに入る場合

中には恐らく舞台へと続くであろう廊下と、上へと続く階段があります。

⇒廊下を進む場合

ライブ会場の舞台に出ます。

⇒階段を上る場合

階段を上るとドアがあり、ドアには「烈閃-RETSEN-事務所」と書かれたプレートが張られています。

⇒ドアを開ける場合

※「烈閃-RETSEN-事務所」へ続く

⇒ライブ後1時間後(20:00)の場合

烏賀陽光太が裏口から出てきます。
※裏道のブラックマーケットに向かう為

⇒出てくる時に顔を合わせていた場合

※烏賀陽光太は出鱈目な道を通って探索者を巻いて裏道へと入って行こうとします。

⇒<追跡>で成功した場合

烏賀陽光太が裏道のとある店に入るところを目撃します。※「ブラックマーケット」へ続く

⇒出てくる時に顔を合わせていない(隠れていた)場合

烏賀陽光太は裏道のとある店に入るところを目撃します。
※「ブラックマーケット」へ続く

⇒ライブ直後~1時間以内の場合

そこには阿波井深詞がいます。

⇒阿波井深詞に話しかける

阿波井深詞「むむ!これは芒たんのご友人!今日も芒たんにご挨拶ですかな?」

⇒追い返そうとする場合

阿波井深詞「今日は芒たんにいつものチョコを届けるだけですぞ!終わったら取り掛からなきゃいけないことがあるからすぐに帰りますぞ!」

阿波井深詞「何ならご友人の分も作ってあるからチョコをあげますぞ!だからそれまでは見逃して欲しいですぞ!」

⇒食べる場合

食べると心は穏やかになっていきます。(SAN値+1)

阿波井深詞「チョコをあげたし見逃すんですぞ!」

チョコを食べた探索者は心が穏やかな為、見逃してあげたくなるかもしれません。※ファンの醸造酒の効果

そうしてやり取りをしていると主催者用搬入口と書かれたドアが開くと四十八坂芒が出てきます。

四十八坂芒「あら、探索者さんと阿波井さん、今日も来てくれたんだ!」

阿波井深詞「今日も芒たんが好きなチョコを持ってきましたぞ!」
そういうと阿波井深詞は鞄から小包装された一口サイズのチョコを四十八坂芒に手渡します。

四十八坂芒「わ~!毎日ありがとう!何度も言うけど、私これ好きなんだ~!」
そういうと受け取ったその場で包装を解いてチョコをぱくっと食べます。

四十八坂芒「んん~!チョコの中にお酒がじんわり効いてきたよ~!」

美味しそうに頬張っています。

阿波井深詞「お友達ももしかしたらいるかもと思っていつもより多めに作ったんですぞ!皆さんも如何ですかな?」

⇒断る場合

四十八坂芒「あら、要らないなら私が貰うよ!」
そういうと手を出し
四十八坂芒「んん~~!んまぁ~~い!!」
と言いながらパクパクと食べます。

⇒貰う場合

阿波井深詞「お裾分けですぞ!」
そういうと小包装された一口サイズのチョコを手渡します。
阿波井深詞「僕の自信作ですぞ!」

⇒食べる場合

チョコは舌の温度で滑らかに溶けて口の中をチョコの味で満たします。すると溶けたチョコの中からお酒が流れ出し、お酒の匂いはチョコの香りを巻き込んで鼻孔をチョコの匂いで満たします。食べ終わるとお酒が効いて身体の芯からじんわりと温めていき、心は穏やかになっていきます。(SAN値+1)

阿波井深詞「今日はこれで終わりですぞ。」

※食べた探索者をKPは覚えておいてください。終盤の誘拐イベントで使います。

阿波井深詞「芒たん!もうすぐ、凄く良いところに連れて行ってあげるんですぞ!楽しみにしてて欲しいんですぞ!」

四十八坂芒「もちろん、楽しみにしてるね!」

阿波井深詞はその場を去っていきます。

⇒阿波井深詞に着いていく

阿波井深詞の家まで嫌な顔せずに連れてってくれます。

※撒こうともしない為、技能も使うまでもなく阿波井深詞の家まで辿り着けます。
※「阿波井深詞の家」へ続く

四十八坂芒「チョコ食べ過ぎたのか酔っちゃって…私も帰るね!あ、裏道は使わないから安心してよ!」

8.3.5 烈閃-Retsen-事務所

事務所は鍵が掛かっています。

⇒烏賀陽光太がいる時間であれば開けてくれる。

烏賀陽光太「皆さんには四十八坂芒の面倒を頼んだはずですが…?」
ギロリと睨み、中へ入るのを拒みます。

⇒芒について等と言って交渉した場合

事務所の中に入れてくれます。
キャビネット、仕事机、接待用スペースがあります。
※調べても普通に仕事の物が入ってあるだけです。

⇒0時~12時に尋ねた場合

仕事机の上にコンビニ(HISON)の袋がある。

⇒コンビニの袋を調べる

コンビニ弁当と一緒に、袋詰めされたいくつかの粉末、何かの臓器らしきものが入っています。

8.4 ブラックマーケット

顔に傷のある男や小振りなナイフをちらつかせる男と言った、見るからに危なそうな男達が看板も出ていないドアを囲っています。

⇒烏賀陽光太を追跡していた場合

烏賀陽光太が入っていくのが見えます。

⇒店に入る場合

探索者がドアを開けて入ると、後ろから先ほど表で見た男が数人後ろから付いてきます。その男は探索者の背後を常に取るように後を付け、無視をしたくても嫌でもその男から視線を感じます。

部屋には透明なショーケースが並べられており、そこには「最高にハイになれる薬」や「眠れる意識を覚醒する薬」等と手書きされた紙と対に粉が詰められた袋が種類豊富に置いてあります。

ショーケースの向かいには体格の大きい生傷の目立つ男が腕を組んで探索者を睨んでいます。

⇒店主話し掛ける

店主「お前、此処は初めてだな。素性を確認できなきゃここでは何も出来ないぞ。俺は信頼できるビジネスパートナーとしか交渉しない。お前も俺と同じリスクを負ってこそ信頼が築けるというものだ。
身分を証明できるものと勤務先を紙に書いて俺に渡せ。確認が出来次第、交渉はしてやろう」

⇒身分と勤務先を明かす場合

店主「確認する。そこに腰掛けて待ってな」

そういうと携帯電話を取り出し写真を撮る。

暫く待っていると男は携帯電話の液晶画面を見せます。そこには自宅と職場が写っています。

店主「確認が取れた。これで俺とお前は晴れてビジネスパートナー、俺達と同じ穴の狢だ。」

⇒烏賀陽光太について聞く

店主「パートナーとは言ったがこれはビジネスだ。それを答えるのに見合う対価を示してもらわなきゃ交渉は決裂だ。」

⇒対価を支払えた場合(対価によって情報の提示が増えていくと面白いかも)

店主「烏賀陽光太はうちのお得意様だな。」
店主「今日も来て『いつもの』を買って裏口から出て行ったぞ。」
店主「『いつもの』のうちの一つはケシのヤニだ。」
店主「二つ目は熊の脾臓だ。」
店主「他はマリファナをはじめとする違法薬物数種類だ。」
店主「何に使うかは知らんな。」

⇒阿波井深詞の白い粉が付着した空の袋、赤い液体が残った開封済みの真空パックについて聞く場合

店主「これはうちで扱ってる商品だな。」

⇒店を出る場合

ドアを開けて外に出ると、後ろを付いていた男は探索者から離れ、またドアを囲うように立って探索者を見ています。

8.5 阿波井深詞の家

一戸建ての家で、家を囲うように塀が並んでいます。表札には阿波井と書かれています。

⇒ドアや窓から入ろうとする場合

鍵が掛かってます。

⇒阿波井深詞が家にいる場合

阿波井深詞「むむっ、これは芒たんのお友達ですな!どうしたんですかな?」

阿波井深詞「立ち話も何ですし中に入りますかな?」
そういって中に促します。

⇒入る場合

玄関に入るとすぐにキッチンとなっています。
キッチンにはお風呂とトイレ、リビングへ繋がる扉があります。

阿波井深詞に勧められるがままにリビングに通されます。

8.5.1 キッチン

台所、冷蔵庫があり一般的なキッチンであることが分かります。キッチン周りは綺麗に片づけられています。キッチンにはお風呂とトイレ、リビングへ繋がる扉があります。

⇒何か調べる場合

一般的なもの以外特に目ぼしいものはありません。

8.5.2 リビング

リビングからはキッチンとは別に、閉め切られた扉が見えます。
リビングは物が散乱し、片付けが行き届いていないように見えます。そのなかで一画だけ整理され際立つものがあります。それはトルソー(マネキンのようなもの)に飾られた純白のドレスです。
探索者は物が沢山乗っているテーブルへと勧められます。
阿波井深詞「海洋深層水のミネラルウォーターですぞ。」
水の入ったコップを探索者に振る舞います。

⇒ドレスについて聞く

阿波井深詞「これは僕が作った最高傑作のウェディングドレスですな!」
阿波井深詞「芒たんに着て貰おうと思って作ったんですぞ!」

⇒四十八坂芒について聞く

阿波井深詞「仕事が空回りばかりで行き詰って落ち込んでたところで芒たんと出会ったんですぞ。
観客が居ない中で一人で全力で歌ってる姿が、空回りしている自分と重ねて見えてしまったんですな。
誰かに認められたいとかそういうのではなく、自分がそうありたいからしているっていう強い意思が伝わってきて、元気が出てきたんですな。
それからは芒たんを信仰しているんですぞ!」

⇒烏賀陽光太について聞く

阿波井深詞「芒たんのマネージャーですな!芒たんの歌が沢山の人に聞いて貰えるように取り計らってくれて、僕としても嬉しいことですな!」

阿波井深詞「でもだからと言って芒たんがマネージャーのものとはならないんですぞ!」

⇒閉め切られた扉について聞く

阿波井深詞「この中は見せられないですな!」

8.5.3 不明

そこに入ると四十八坂芒のCDやDVD等のグッズが部屋全体に飾られており、部屋の奥には天井から床まで届いている巨大なポスターがあります。

⇒阿波井深詞がいる場合

阿波井深詞「ここは僕の崇拝部屋ですぞ!ベタベタ触られたくないからさっさと出るんですぞ!」
といってリビングへ戻されます。

⇒ポスターを見るか部屋全体に<目星>する場合

ポスターは普通壁に貼られるものだが、不自然に天井で止められているのに気が付きます。

⇒ポスターに触れる(調べる)場合

ポスターに触れるとポスターの裏側にまだ空間があることに気が付きます。

⇒ポスターの裏を調べる場合

ポスターを除けるとそこには2つの人間大の黒く染まった体が目につきます。全体的な形は何となく人間の男女に似ているが、頭部は魚の形をしており、両目は突出し、分厚くたるんだ唇、首にはエラがあります。水かきの付いた手足、背中は隆起し鱗で覆われています。このような悍ましい姿を見た探索者はSANチェック(0/1D3)

その黒く染まった身体は落ち着いて見れば像であることが分かります。2体の像の間にはハッチがあります。

⇒ハッチを開ける場合

梯子が掛けられ、奥は暗く、梯子が途中で闇に飲まれ終わりは見えません。冷たい空気が流れ出てきており、それは探索者の身体をまるで飲みこむように全身を包み、寒気を覚えます。

⇒下を照らす場合。

15メートル程先にコンクリートの床が見えます。

⇒下に降りる場合。

「地下室」に行きます。

8.5.4 地下室

地下室に降りると扉があります。

⇒開ける場合

扉を開けると、壁と天井は大きな岩や土石がむき出しになっており、床はコンクリートで舗装され、天井も5メートルはある高さで大きく開けた空間があります。
その大きく開けた部屋の隅々には青く柔らかに光るピラミッド状のオブジェがあり、部屋を青白く照らしています。

部屋の隅々には机や本棚、ゴミ箱が置いてあります。

部屋の正面には天井まで伸びる巨大な黒く染まった像があります。
それは何となく人類的な外観をしているが、タコに似た頭部が付いており、顔には触手が集まって密生している。
鱗に覆われた身体、前足と後ろ脚には大きなカギ爪、背中には細長い翼が生えていた。まるで恐怖を象徴するような巨像を見てしまった探索者はSANチェック(0/1D3)

⇒誘拐イベントの場合

次章「誘拐」の「地下室でのやり取り」を挟む。

⇒本棚を調べる場合

本棚には日本語ではない文字で書かれた本がいくつか置いてあります。
本は湿って水を含んでおり、無理に掴みだそうとすると千切れてしまいそうです。

⇒テーブルを調べる場合

テーブルの上にはいくつかのフラスコやビーカー、乳鉢や計量スプーン等の理科で見るような道具が乱雑に置かれています。
テーブルの端には試験管立てがあり、試験管がいくつか置いてあり、1本だけ栓の付いた試験管があります。

⇒栓の付いた試験管を見る場合。

少量の茶色い液体が入っています。

⇒栓を開けて嗅ぐ場合。

お酒の匂いがします。

⇒栓を開けて飲む場合。

お酒の味がします。

⇒ゴミ箱を調べる場合。

ゴミ箱には紙箱が入っています。

⇒紙箱を開ける場合

白い粉が付着した空の袋、赤い液体が残った開封済みの真空パック、空の液体容器、何かが書かれた紙が見つかります。

⇒白い粉が付着した空の袋を調べた場合

空の袋には『B』とペンで書かれています。

⇒白い粉(ケシのヤニ)を舐める場合

強い苦味とエグ味を感じます。
少し経つと、気持ちが浮足立つような恍惚とした気分になります。

⇒白い粉について<薬学><医学>で調べる場合

阿片であることがわかります。

⇒赤い液体が残った開封済みの真空パックについて

赤い液体は血液だと分かります。真空パックには『A』とペンで書かれています。

⇒空の液体容器について調べる

発酵したような匂いがします。液体容器には『C』とペンで書かれています。

⇒紙について調べる場合

紙には次の内容が書かれています。

《惚れ薬の造り方》
Aのキモをペースト状になるまで潰す。
次にBの白い粉を少量ずつ加え馴染ませていく。
Cの水溶液を少量ずつ足しながら混ぜ、ペースト状から水飴のようにドロっとするまで足しては混ぜることを繰り返す。
《注意》
造った者に従順になるので他の者に造らせないこと。

9 誘拐

9.1 誘拐の発生

⇒ライブ会場に居た場合

ライブが終わると阿波井深詞はステージの上へと登ります。

登り終わると四十八坂芒に向かって声を掛けます。

阿波井深詞「今日は今までで最高のライブですな!今夜のアンコールは僕と君だけの特別なものにするんですぞ!」
阿波井深詞は四十八坂芒の手を掴み引っ張ります。

四十八坂芒「へ?ちょ、ちょっとやめて!痛いって!」

阿波井深詞「芒たんの為に最高のステージ、衣装を用意したんですぞ!」

四十八坂芒「何言ってるの!?」

引っ張る阿波井深詞に四十八坂芒は抵抗しています。

阿波井深詞「一緒に来るんですぞ!」

そう阿波井深詞が言うと四十八坂芒は抵抗をピタッと止めます。

四十八坂芒「もちろん一緒に行くよ!」

二人はステージを自ら降り、阿波井深詞は四十八坂芒の手を取り外へと走って外へ出て行きます。

周りは「な、何だよ今の!?」とざわついています。

⇒阿波井深詞を追いかける場合

ライブ会場の外に出た阿波井深詞は四十八坂芒を抱え上げます。

探索者はそれを追いかけようとしますが、人ひとり抱えているはずの阿波井深詞に追いつくことが何故かできません。
それどころか見失わないように後を追いかけることで精一杯です。

探索者は<目星>を振ってください。

⇒<目星>に成功した場合

阿波井深詞の首元にエラのようなものが見え、心なしか皮膚の一部が鱗のようになっているように見えます。
※深きものに成り始めている

追いかけていくと、阿波井深詞の家に入っていくところが見えます。

※阿波井深詞は鍵も閉めずに家の地下室へと向かいます。
前章の「阿波井深詞の家」を参考にして地下室まで進めてください。

⇒ライブ会場にいなかった、見失った場合

烏賀陽光太から連絡が入ります。

⇒ライブ会場にいなかった場合

烏賀陽光太「大変です!あの男に芒が攫われました!
恐らくあの男の家に向かっているように思えます!
すぐに来てください!」

※阿波井深詞は鍵も閉めずに家の地下室へと向かいます。
前章の「阿波井深詞の家」を参考にして地下室まで進めてください。

9.2 地下室でのやり取り

地下室の机と反対側の、何もない壁の方に阿波井深詞と四十八坂芒がいます。
阿波井深詞が壁に手を付けると聞き取れない言葉を発します。

すると壁に石造りの扉が現れます。阿波井深詞はその扉を開くと目映い光りが差し込みます。

阿波井深詞「芒たんのお友達は、僕と芒たん以外を通さないように、この扉が閉じるまで死守するんですぞ!それが出来ない事は恥だと思うんですぞ!」

⇒チョコを食べたことのある探索者がいる場合

その言葉を聞いたチョコを食べた探索者は阿波井深詞とPOW対抗を行います。

⇒失敗した場合

チョコを食べた探索者は突然『扉を死守することが使命であり、全ての正当な理由を差し置いてでも使命を真っ当することが正しい』としか思えなくなり、その阿波井深詞の言葉に従ってしまいます。

阿波井深詞「ここは任せたんですぞ!」

そう言って阿波井深詞は四十八坂芒を連れてさっさと扉の向こうへと入っていきます。

探索者同士の戦闘になります。

9.2.1 戦闘

チョコを食べた探索者は、扉に阿波井深詞と四十八坂芒以外を通さないように振る舞ってください。

※洗脳に当たるので殴っても正気に戻りません。もし殴られたとしても何故正しいことをしているのに殴られるのかと理不尽に感じます。

※精神分析に成功したら使命から解放される。(探索者はファンの醸造酒の効果が軽度のため)

※使命を破った探索者は今までに感じたことのない罪悪感に襲われます。SANチェック(0/1D3)

※チョコを食べた探索者を扉の向こうへ突き飛ばす場合はSTR対抗になります。突き飛ばされた探索者は使命を破ったということでSANチェックを受けるが使命から解放される。

※四十八坂芒のカレンダーで姿を隠して通る等、RP次第ではSANチェックなしで許可しても良い。

⇒1ターン目終了時

扉がゆっくりと閉じ始めるのが分かります。POW×1に成功で使命から解放される。

⇒2ターン目終了時

扉が更にゆっくりと閉じます。残り4分の3しか開いていないことが分かります。POW×2に成功で使命から解放される。

⇒3ターン目終了時

扉が更にゆっくりと閉じます。残り半分しか開いていないことが分かります。POW×3に成功で使命から解放される。

⇒4ターン目終了時

扉が更にゆっくりと閉じます。残り4分の1しか開いていないことが分かります。POW×4に成功で使命から解放される。

9.2.2 戦闘終了

⇒4ターン目終了時にまだ解放されていない探索者がいる場合

烏賀陽光太が部屋に現れます。

烏賀陽光太「何をやっているんですか!君達は!」

烏賀陽光太は体当たりし、チョコを食べた探索者を無理やり門の中に突飛ばします。

烏賀陽光太は扉の中へと後を追うように入っていきます。

⇒戦闘終了して地下室にまだいる場合

扉は今もゆっくりと閉じています。
この地下室で調べられるのはおそらく(5-戦闘で掛かったターン数)箇所が限度でしょう。

⇒扉を調べる、添え木等で閉まるのを止めようとした場合

石の様に見えますが、材質は鋼よりも頑丈で重たく感じます。
どんな力を持ってしても自由に開くことも閉じることもできそうになく、例え間に何かを挟んだとしても巨大なプレス機で挟むように全てを砕き潰して閉じてしまうと予測できます。
この扉はただただ時間と共に閉じていくことが分かります。

9.2.3 扉を通過

強烈な強い光が目に焼き付きます。それは目を開けているのか閉じているのか、それすらも分からなくなる程の強い光です。
前へ引っ張られるように、あるいは何かに後ろから押されるように探索者は歩みを進めます。
やがて、貴方は何処かに辿り着いた事に気が付きます。
光の焼き付いた目は次第に視力を取り戻し、辺りの景色を写し出します。

※次章「見覚えのある教会」―「教会1階」へ進む

10 見覚えのある教会

10.1 教会1階

長椅子が並べられ、奥に教壇があることから礼拝堂だとわかります。その教壇の両端には階段があることがわかります。そこは見覚えのある場所でした。かつて黒山殊音を救出に向かった教会の1階です。
所々老朽化しており、綺麗に並べられていたはずの長椅子はいくつか足が折れ倒れています。良く見るまでもなく全ての物に埃が積もっています。

烏賀陽光太「おっと!?ここは一体!?」

⇒烏賀陽光太が不在だった場合

後から烏賀陽光太が同じ扉を通ってきたのか、探索者の後ろに居ます。

後ろからバタンと扉が閉まる音がします。

⇒後ろを振り向く場合

教会のドアしかないことが分かります。

10.2 教会2階

2階に上がると4つのドアがあるのが分かります。ドアにはそれぞれ「用具室」「人形部屋」「食堂」「教祖の部屋」と書かれたプレートが張られています。

10.2.1 人形部屋

中に入ると真っ暗な部屋が広がっています。いくつか窓があるようですが、板のようなものが打ちつけられており、良く見えません。

⇒辺りを照らした場合

何もありません。

10.2.2 用具室

中に入ると真っ暗で、埃とカビ臭さを感じます。
いくつか窓があり、そこから入る月明かりがぼんやりと中の様子を照らします。
椅子や机のような影が見えることから、物置き部屋のようです。

⇒辺りを照らした場合

置いてあるものは教会に関係する物が乱雑に置いてあります。
この教会の備品置場のようだとわかります。
教会の備品でありそうな物なら探せばあるかもしれませんが老朽化しています。

⇒探索者が希望する物を探す。

KP判断で教会の備品でありそうな物なら【幸運】で判定し、成功したら見つけられます。

10.2.3 食堂

中に入ると真っ暗で、いくつか窓があり、そこから入る月明かりがぼんやりと中の様子を照らします。
奥の方に月明かりを反射するものがあり、調理場であるように感じます。

⇒辺りを照らす。

部屋が区切られているのに気が付きます。
手前にはテーブルと椅子が並べられ、食卓となっており、奥は調理場となっています。

⇒調理場を探す。

錆びついた調理器具、食器、大型の冷蔵庫が見つかります。

⇒大型冷蔵庫の中を調べる。

空で何も入っていません。

10.2.4 教祖の部屋

部屋に入ると机、空の本棚が置いてあり、奥に3階へと続く階段が見えます。四十八坂芒の歌声が階段の方から聞こえます。

⇒本棚を調べる

何もありません。

⇒机を調べる

何もありません。

10.3 教会3階

教会3階に上がると部屋の正面の壁が大きなステンドグラスになっており、そこから月明かりが部屋いっぱいに差し込んでいます。
月明かりはステンドグラスを通して幻想的な色をフロア全体に広げ、まるで星空に立っているような錯覚を受けます。

中心には四十八坂芒が白いドレスを纏って笑顔で気持ち良さそうに歌っています。
四十八坂芒が動き、揺れ動く度に床に落ちた幻想的な色を白いドレスは拾い上げ七色に彩られます。

その四十八坂芒と探索者の間には阿波井深詞が居ます。
探索者が来たことに気付き阿波井深詞は振り返ります。

阿波井深詞「僕と芒たんはこれから結婚をするんですぞ。親族以外はお呼びでないんですぞ。」

振り向いた阿波井深詞の両目は突出し、首には呼吸する度に波打つエラのようなもの、両手には水掻きと鋭い爪、皮膚は青とも緑とも言える色をした鱗模様が浮き出ています。知っている人物の変貌ぶりを目の当たりにした探索者はSANチェック(1/1D6)

阿波井深詞「芒たんはもう僕の言う通りになったし、芒たんはもう僕のものですぞ。だから結婚するんですぞ。」

阿波井深詞「僕の芒たんには僕の父上と母上をここに招待する儀式をして貰ってるんですぞ。親族の前で誓いを立てて、僕と芒たんは海底の都市へと移住するんですぞ。」

烏賀陽光太「あの男は正気ではありません。あの男を殺して芒を正気に戻しましょう。」

⇒烏賀陽光太の〈心理学〉に成功した場合

男を殺すことが四十八坂芒を元に戻す唯一の方法であると確信している発言だと感じます。

阿波井深詞「部外者はご退場して欲しいんですぞ。邪魔立てするなら容赦しないんですぞ!」

※次章「教会戦闘」へ続きます。

11 教会戦闘

11.1 戦闘開始

※阿波井深詞は深きもの(神話生物)になりつつあるので気絶判定は行わない。
※烏賀陽光太は阿波井深詞を殺す為に戦闘終了まで攻撃し続けます。
※四十八坂芒は戦闘終了まで歌(《父なるダゴンとの接触》と《母なるハイドラとの接触》詠唱)は絶対止めません。
※戦闘終了の条件方法は阿波井深詞がHP0になるか、阿波井深詞のPOW値を越えるまで説得する。

⇒阿波井深詞が攻撃する場合

阿波井深詞の心情を一言ずつ吐露していく。

<セリフの例>
「僕には時間がなかったんですぞ。」
「日に日に自分の身体が人でなくなっていく恐怖が分かる訳ないんですぞ。」
「人間だと疑っていなかった自分がまさか化け物だったと初めて気付いた時の落胆は僕にしか分からないんですぞ。」
「人間にこんな残忍な爪が生える訳がないんですぞ。」
「僕にとって芒たんが唯一の救いだったんですぞ。」
「芒たんと居る間だけは自分が何者かなんて忘れて、芒たんの1ファンでいられたんですぞ。」
「僕には芒たんが必要だったんですぞ。」
「芒たんはマネージャーのものなんかではないんですぞ。」
「僕は今まで通り芒たんを応援し続けたいだけなんですぞ。」
「こんな姿じゃ芒たんと今まで通りなんて無理ですぞ。」

⇒阿波井深詞に〈言いくるめ〉する

1D4+KP判断

⇒阿波井深詞に〈説得〉〈精神分析〉する

1D6+KP判断

11.2 戦闘終了

⇒阿波井深詞を倒した(HP0)

烏賀陽光太「化け物が。うちの芒をこんな目に合わせやがって。」
吐き捨てるように言います。

⇒烏賀陽光太に〈心理学〉した場合

怒っている演技で、にやつきを抑えているように感じます。

⇒阿波井深詞を説得完了

阿波井深詞「芒たん、もう止めて良いんですぞ。」

笑顔で気持ちよく歌っていた芒は突然仮面が剥がれ落ちたかのように表情を失います。体力も精神も大分使い果たしたのか、その場でへたり込みます。
そこへ烏賀陽光太は駆け寄ります。

烏賀陽光太「あの男には気を付けるように言ったではないですか。私は貴方がこのような目に合わないようにと、貴方に嫌われる覚悟もして、ずっと私は芒のことを想って言っていたんですよ。」

⇒〈心理学〉した場合

怒っている演技で、にやつきを抑えているように感じます。

四十八坂芒「ご、ごめんなさい。」

烏賀陽光太「これからはもっと私を信用してくださいね。」

四十八坂芒「私、烏賀陽さんのこと誤解してました。これからはちゃんと話も聞きます。」

烏賀陽光太「ええ、貴方を一番に想っているのは私ですから、頼ってくださいよ。」

烏賀陽光太「さ、帰りますよ。探索者さんもありがとうございました。」

⇒阿波井深詞が生存している場合

阿波井深詞は申し訳なさそうにその場で佇んでいる。

烏賀陽光太「探索者さんはこの場所をご存知なんですよね、案内お願いしますよ。」

烏賀陽光太「どうしました?何か、やり残したことでもあるんですか?」

⇒暗躍していたのは烏賀陽光太であることを言う

※次の「烏賀陽光太の目的」へ

⇒何も指摘することなく案内して終える。

※次章「エンディング」へ

11.3 烏賀陽光太の目的

烏賀陽光太は深く大きなため息を聞こえるように「はぁ…」と漏らします。

烏賀陽光太「貴方ね、ここでそれを言っちゃダメですよ。」

四十八坂芒「う、烏賀陽さん…?本当なの…?」

烏賀陽光太「私の計画が台無しだ!」
烏賀陽光太は四十八坂芒の首もとにナイフの切っ先を向けます。

烏賀陽光太「おっと、全員動くなよ」

烏賀陽光太「ああ!そいつがいってることは本当さ!
俺はな、芒を俺に従順な女にしたかっただけだ!
命令を聞かせるだけならそこのアホな化け物に使わせてやった薬を芒に飲ませるだけで良かった。だがそれは命令を聞くだけで俺が望んだものじゃない。
生意気に俺に反抗するこいつが、俺を求めて陶酔する様が見たかったからなー!
その為に、ちょろそうなそこのアホな化け物を悪役に選んでやったんだ。
暫しの夢みたいな経験が出来たんだ。俺に感謝しろよ化け物!ハッハッハ!」

烏賀陽光太「さーて、こいつらを始末したら、芒を従順な女にするのはもうできねえし、薬漬けにして俺の命令でしか動けなくして、身も心も凌辱しつくしてやるか。」

そういうと烏賀陽光太の前にはフワフワと浮く火の粉が1つ現れます。

烏賀陽光太「全員、消し炭にしてやるよ。」

11.4 烏賀陽光太との戦闘

戦闘開始
※戦闘終了条件は烏賀陽光太の気絶またはHP0にする。

⇒1ターン目開始時
⇒阿波井深詞が生存してる場合

阿波井深詞「芒たんは僕が守るんですぞー!」

烏賀陽光太のナイフを握りしめ、遠くの床へ投げます。

四十八坂芒は烏賀陽光太の腕に噛みつきます。(1D3ダメージ)

怯んだところを四十八坂芒は探索者の居る方へ必死で逃げ、倒れ込みます。

⇒2ターン目以降
⇒阿波井深詞が生存してる場合

炎の精の攻撃を身代わりに受けます。

阿波井深詞「この火の粉は生身だと辛いと思うんですな。
こいつは、鱗に覆われた僕が相手をするんですぞ!
化け物の身体がこんな形で役立つなんて思っても見なかったんですぞ。」

⇒烏賀陽光太を倒した時に火の精がいた場合

烏賀陽光太が倒れると同時に火の粉は消滅します。

⇒戦闘終了

※次章「エンディング」へ

12 エンディング

12.1 阿波井深詞との戦闘で全滅した

四十八坂芒は曲を歌いきったのか、スッと止まります。

外の方から、波の音が微かに聞こえます。
耳を澄ませなければ聞こえない音は時間と共に轟音となって押し寄せます。
海がまるで崖に打ち寄せるような音がすると教会のガラスが巨大な波の力によって粉々に割られます。
ステンドグラスが割れて見える外の光景は2階までに及ぶ浸水と、水の底へと消えた町並み。それらを背景に教会の中を覗き込む2体の巨大な怪物と合った。
自分たちの3倍はある巨大な身体をした怪物は阿波井深詞のと同じような姿をしていますが、背ビレもあり、白い腹を残して全身鱗に覆われています。それは人の姿をまだ残している阿波井深詞とは遠く懸け離れた姿をしています。

⇒目撃できる状態だった場合

2体の怪物(ダゴンとハイドラ)と目があった探索者はSANチェック(2/2D10)

阿波井深詞「父上と母上、僕と芒たんとの結婚を認めて欲しいんですぞ!」

怪物(ダゴン)は四十八坂芒の方を見ます。

怪物(ダゴン)「我らを呼んだのはその娘か。」

怪物(ダゴン)「我が子よ、その者との和合を認めよう。招待しよう、我らの郷里へ」

阿波井深詞「やったんですぞ!芒たん、僕に着いてくるんですぞ!」

四十八坂芒「もちろんだよ。」

怪物はそれぞれ四十八坂芒と阿波井深詞を抱え込みます。

2体の怪物は波を立てながらそこからと去り、遠くの方へと行きます。

消えて行った2人の行方をこの先、知ることはないのだろうという勘だけが残ります。

12.2 烏賀陽光太と戦わずに生還

烏賀陽光太は四十八坂芒を抱え、外へと案内します。四十八坂芒は地元であることにすぐ気が付きます。

四十八坂芒「あ、この教会の中だったんだ。」

そういって教会を見上げた四十八坂芒の視線は3階の大きなステンドグラスを向いていた。

四十八坂芒「阿波井さん…こんなことしない人だって、信じてたのにな…。」

外に出ると月は雲に隠れ、辺りは明かりを失います。
白いドレスに闇の色が溶け込んでいきます。

後日。
探索者は黒山殊音に結果を報告に、黒山殊音家へと訪れます。

黒山殊音「私が感じた違和感ってその阿波井さんて方に芒ちゃんが操られてたからだったのね。」

⇒阿波井深詞が生存していた場合

黒山殊音「その阿波井さんも反省してるみたいですし安心ですね。」

黒山殊音「ありがとうございました。相談料をお支払いしますね。」

それから程なくして。
四十八坂芒は烏賀陽光太マネージャーの下、新規ファンを開拓して音楽で成功させていきます。

大衆受けを狙った売れる為の曲が、四十八坂芒の誰に宛てた訳でもない行き先のない歌が街を賑わせていた。

12.3 烏賀陽光太との戦闘で全滅した

探索者の耳に低い声と高い声が入ります。

探索者の目に映る光景は燃え盛る炎。炎が邪魔で前の光景を見ることができません。

粘着質の様に纏わりつく熱は皮膚から身体の内へと入っていくのを感じます。熱を剥がすこともできず、やがて意識は炎と熱に分解され、自分を認識する何かは、なくなりました。

※探索者はロストします。

12.4 阿波井深詞を倒し、烏賀陽光太も倒した

四十八坂芒は最初にあった時のように元気な声を掛けます。

四十八坂芒「探索者、助けてくれてありがとう!」

四十八坂芒の視線は阿波井深詞に向きます。

四十八坂芒「阿波井さん…。一番私が近くに居たのに、気付いてあげられなくてごめんなさい。」

しばらくの沈黙が流れます。

四十八坂芒「帰ろう。」

外に出ると月は雲に隠れ、辺りは明かりを失います。

闇に飲まれた夜の中に、たった1つの白いドレスだけが闇に飲まれずに取り残されていた。

後日。
探索者は黒山殊音に結果を報告に、黒山殊音家へと訪れます。

黒山殊音「私が感じた違和感ってその阿波井さんて方に芒ちゃんが操られてたからだったのね。
けどその阿波井さんも烏賀陽さんに操られてたなんて、酷い話ですね。
芒ちゃんを助けてくれてありがとうございました。
相談料をお支払いしますね。」

それから程なくして。
探索者へ四十八坂芒からライブへの招待状が届きます。

ライブ会場へ行くと、ファンの人と談笑している四十八坂芒が居ます。
その様子は人との関わりをより一層大事にして、多くの人の拠り所になっていこうという決意を感じます。
そんな決意の現れか、以前よりも熱狂的なファンが増えているように見えます。

四十八坂芒「来てくれてありがとう。探索者には聞いて欲しい歌があるんだ。」

四十八坂芒は白いドレスを着て登場すると新曲を歌います。

探索者にはそれが阿波井深詞に向けた鎮魂歌であることが分かります。

その歌は四十八坂芒と探索者の胸の傷を治めることでしょう。

12.5 阿波井深詞を説得し、烏賀陽光太を倒した

四十八坂芒は探索者に抱きつきます。

四十八坂芒「探索者、助けてくれてありがとう!」

四十八坂芒は阿波井深詞に抱きつきます。

四十八坂芒「阿波井さん、助けてくれてありがとう!」

阿波井深詞は慌てふためきます。
阿波井深詞「芒たん!?僕の身体鱗だらけだし、火傷もあるし気持ち悪いと思うんですぞ!」

四十八坂芒はそれに応えるように阿波井深詞にぎゅーっと力強く抱きつきます。
四十八坂芒「そんな事ないよ。どんな姿をしていても阿波井さんは阿波井さんだから、気持ち悪いとかそんなの思わないよ!」

四十八坂芒はそのまま話します。

四十八坂芒「私さ、ずっと考えていたことがあるんだ。阿波井さん、私のマネージャーになってくれない?」
阿波井深詞「マネージャーだなんて、そんなの僕には不釣り合いですぞ!?」

四十八坂芒「阿波井さん程熱心で、私の事を知ってる人なんて居ないでしょ?阿波井さんより向いてる人が他にいるわけないじゃない!」
阿波井深詞「芒たんを独り占めしようとしたのに!?こんな姿なのに!?そう思ってくれるんですかな!?」
四十八坂芒「私は本気だよ。」

阿波井深詞「ううっ…嬉しい…ですぞ…。ありがとう…ですぞ…。」

阿波井深詞の目からポロポロと涙を床に落としていきます。

同時にポロポロと阿波井深詞の肌を覆っていた鱗が床に落ちていきます。

四十八坂芒が泣きじゃくる阿波井深詞の身体を撫でると鱗は剥がれ落ち、人肌が露になります。首もとにあったはずのエラも、まるでピッタリとはまったパズルのように蓋がっています。

四十八坂芒「阿波井さん、一緒に帰ろう。」

闇に飲まれた夜の中、月明かりをその身いっぱいに受ける1つの白いドレスはもう1つの月のようで、二人の人間の前途を照らし続けているようだった。

後日。
探索者は黒山殊音に結果を報告に、黒山殊音家へと訪れます。

黒山殊音「私が感じた違和感ってその阿波井さんて方に芒ちゃんが操られてたからだったのね。けどその阿波井さんも烏賀陽さんに操られてたなんて、酷い話ですね。芒ちゃんを助けてくれてありがとうございました。相談料をお支払いしますね。」

黒山殊音「それから、これを芒ちゃんから皆さんに渡すように預かってます。」
そういうと1枚の紙切れを手渡されます。それは四十八坂芒のライブチケットであり、『協賛:SAN値回復委員会』と書かれています。

それから程なくして。

気持ちを籠めて生き生きと歌い、たくさんの人を元気付ける四十八坂芒がいます。

その傍らで、四十八坂芒の衣装を作り、営業も回ったりと忙しそうに動き回り、生き生きと汗を流す魅力的な男の顔があった。

13 クリアボーナス

四十八坂芒を帰した。(SAN回復 1D4)

阿波井深詞が生存している。(SAN回復 1D3)

烏賀陽光太を倒した。(SAN回復1D6)

阿波井深詞が四十八坂芒のマネージャーになった。(SAN回復 2D6)

黒山殊音に報告した。(SAN回復 1D3、〈クトゥルフ神話〉+4)

ライブチケットを使う※他PCに譲渡可能(SAN回復1D2)

 

14 補足

14.1 阿波井深詞が人間に戻った理由

阿波井深詞は深きものの混血種です。
本来40歳頃から深きものへと変わって行きますが、今回は強いストレスから急速に深きものへと変貌してしまいます。
しかし四十八坂芒からストレスを上回る程に嬉しい言葉に幸せを感じ、真逆の変化として人に変わります。
※ストレスによって深きものに変わるのであれば、幸せを感じることによって人に変わっても良いんじゃないかなという妄想。

そしてもう1つの理由として、
阿波井深詞は父なるダゴンと母なるヒュドラよりも四十八坂芒を猛烈に信仰しています。
深きものとして風上にも置けない彼の不敬ぶりから、好き好んで深きものとして迎えたいとは思わず神話生物側から御断りされて人間に戻されました。
※信仰度によって神話生物化も左右されるだろうと、信仰の対象にされる神話生物側の気分が関係してたら面白いなという妄想

14.2 烈閃-RETSEN-(レッセン)事務所

烏賀陽光太はクトゥグァを信仰し、それを信仰しているネスター(Nester)教団に所属しています。レッセンはそのネスターのスペルを逆読みにしたもの。
烏賀陽光太はネスター教団から魔術を教授しており、炎の精の召喚と従属の呪文、ファンの醸造酒の製造方法を知っている。

14.3 ファンの醸造酒をPCが食べさせた場合

効果は食べさせ続けて20-POW日後から出始める為、このシナリオ内にPCが誰かに食べさせたところで効果が現れることはない。
阿波井の地下での探索者同士の戦闘については、阿波井のチョコを初日に食べたことで20-18日後の2日後(3日目)に効果が現れたという扱いになります。

 

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One Reply to “ステンドドレス”

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