レミングスハロウィン

クトゥルフ神話TRPGでハロウィンを祝えたらいいなと思って作ったオリジナルシナリオっス!

真面目というよりは、はっちゃけられるようなシナリオになってると思うっスからプレイヤーとワイワイしながら遊んで貰えたら嬉しいっス!

推奨人数:2~3人
プレイ時間:ボイセ4~5時間
時代背景:現代日本
KP難易度:★★☆☆☆
PL難易度:★★☆☆☆
システム:オープン
正気度喪失:かなり多い(正気度55~60くらいが調度良い)
ルールブック:『クトゥルフ神話TPRG』、『マレウス・モンストロルム』、『クトゥルフカルト・ナウ』の内容を含みます。
その他:RPメインとなるのでキーパーはプレイヤーのやりたい行動を積極的に取り入れるようにすると良い。

 

1.   はじめに

このシナリオはクトゥルフ神話TRPGに対応している。プレイヤーは2~3人程度、プレイ時間は探索者を作成するための時間を除き、4時間程度を想定している。

シナリオの舞台設定は現代、季節はハロウィン、場所は海辺のある町(お台場や横浜、長崎等)を基準として、キーパーが自由に決定して良い。ハロウィン(10月31日)に合わせた舞台設定となっている。

探索者は仮装をしてハロウィンイベントを見て回るため、参加するところから始まる。

 

2.    シナリオの背景

年に一度のハロウィン。町おこしをするため、最優秀者には賞品が出ると大体的に宣伝をし、町全体を会場とした。大きなイベントとなったこのハロウィンイベントではまさに本物と見間違うような仮装を施す人も大勢いる。

普段はひっそりと潜む神話生物達もこの日だけは単なる仮装と勘違いされるため、覚醒の世界(現実)を堂々と闊歩し堪能できる日でもあり、羽を広げて楽しんでいる。

探索者は仮装し、街を歩き回る中で、そうした羽を広げて仮装に紛れている神話生物達と出会い、交友を深めていく。

しかし、羽を広げてイベント事を楽しみに来ている神話生物ばかりではなかった。ハロウィンイベントに紛れていたジャック・オー・ランタン(マレウスモンストロルムP.209)はイベント会場に集まった人間全員を死に誘おうとする。それは人間が憎いといった負の感情ではなく、イベント事を楽しむかのように、純粋に殺すことを楽しんでいるからだ。

 

1.    探索者の作成

プレイヤーには予め正気度喪失がかなり多いことを伝えておくと良い。

探索者は自由に作成して良い。

探索者は海辺のある町で行われるハロウィンイベントに仮装して見て回る。

探索者が今欲しいものを予め設定しておくこと。【探索者が調度欲しいと思っていたものが今回の最優秀者に送られる賞品になる。】

2.    主なNPC

ジャック・オー・ランタン

マレウスモンストロルムP.209を参照。(必要分のみ記載)

STR:21 CON:57 SIZ:19 INT:17 POW:35 DEX:18 APP:- EDU:-
耐久力:38 マジック・ポイント:-
ダメージボーナス:1D6
武器:カボチャを投げる 75% ダメージ 死
装甲:4ポイントの衣服と奇妙な肉。魔法を付与されていない、あるいは鉄以外の武器ではダメージを与えられない。魔法と魔力の付与された武器、鉄製の武器は通常ダメージ。
正気度喪失:目撃した場合、正気度ロール(1/1D8+1)を行う。

 

玉虫色のベトベトする塊 ショゴス

基本ルールブックP.181、またはマレウスモンストロルムP.57を参照

 

腐った巨大なカラス ビヤーキー

基本ルールブックP.188、またはマレウスモンストロルムP.97を参照

 

3.    マップ

受付、更衣室、広場、レストラン、港(海辺)、船着き場、救護所、森林公園、教会、音楽堂、美術館

 

4.    アイテム

星型のバッチ

POW対抗を行う際、所有している星型のバッチ1つにつきPOW1として加算する。【他の人から推薦されたという強みが得られるため、ハロウィン限定の効果となる】

 

かぼちゃのランタン(ちょうちん)

ジャック・オー・ランタンが所持しているニヤニヤ笑いを浮かべたかぼちゃの魔法のランタン。夜の道を照らす程にまぶしい光を見たものは所有者とPOW対抗し失敗すると魅了されてしまい、単純な命令に従ってしまう。

 

玉虫色のベトベトする塊 ショゴスの一部

ショゴスとのPOW対抗に成功するとショゴスを操ることができる。

 

カール・スタンフォードの仕込み杖

純銀製。魔力が付与されており160ポイントのマジックポイントが蓄積されており、自由に使うことができる。

カール・スタンフォード以外の人間が杖に触れた場合、触れた人間のPOWが1減り、仕込み杖にマジックポイント1が蓄積される。

 

首紐のついた呼笛

使用者のMPを消費することでビヤーキーを1体招来し従属することができる。MP1につき成功率が10%上がる。

5.    導入

探索者は【海辺のある町】で行われるハロウィンイベントに参加します。そのハロウィンイベントは町を挙げて行われており、賞金がでるという話も聞いています。

探索者はハロウィンイベントの準備をして会場の町に向かいます。

町に着くと、潮風に乗って海の匂いが探索者を歓迎します。

参加者は多く、血糊で赤く濡れたメイクや服装をしている人、特殊メイクによって痛々しい怪我や肉体を表現している人、アニメやゲームなどのキャラクターの格好をした人等が見受けられます。

「参加者の受付はこちらです!」と案内の声が聞こえてきます。

 

6.    受付

探索者が案内のあった受付の方へ向かうとコウモリやカボチャなどで飾られた仮設テントがあり、魔女の格好をした受付の人が座って順次対応しています。

参加料の1000円、名前や住所等の受付を行うと受付の人は探索者に星型のバッチを1つ渡し、説明を始めます。

「参加者の方には星型のバッチをお渡ししています。もし素晴らしいと思った相手が居れば星を渡してあげてください。もちろん逆に貴方を素晴らしいと思った相手から星を貰うこともあります。他にも協賛しているお店などで買い物や食事、イベントに参加することで得ることもできます。最終的に星を最も多く集めることができた方には賞品が与えられます。」

「着替えについてはこちらで用意した更衣室をお使いください。」と更衣室の場所を説明されます。

 

7.    更衣室

案内に沿って向かうとコインロッカーがあり、他に着替えと化粧スペースが用意されています。

コインロッカーは小中大と3サイズがあり、値段も小300円、中500円、大700円となっています。

【着替えによるAPPの変更ルール】ゾンビや怪物など人から遠い格好をした場合は21からAPP値を引いた値を本シナリオ内でのAPPとする。

【例】APP3のキャラクターがゾンビの格好をした場合はハロウィンに適しているとしてAPP18になる。

 

8.    外(子供)

探索者が着替えを終えて更衣室から出てくると、燕尾服に目と口の開いたカボチャをすっぽりと被った子供が「僕はジャック・オー・ランタンだぞ~!トリックオアトリート!」と言ってきます。

【星型のバッチを渡してきた場合、賞金に興味がないこと、構って貰えることに喜びを感じていることをRPする。】「星型のバッチ貰っても食べられないし、それよりお菓子が欲しい!」と星型のバッチには見向きもしません。

【ジャック・オー・ランタンについて聞いた場合】「ジャック・オー・ランタンってママが言ってたよ!」

【一人なのか聞いた場合、母親と来ていることを伝える】「ママと一緒に来てるよ!先に着替え終わったから外で待ってるの!」

【頃合いを見て切り上げる。】「あ!ママが来た!」と言って、血まみれのナース姿の女性の元に駆けていきます。

母親はペコリと頭を下げると手をつないで人の波の中へと消えていきます。人の波はどうやら広場に向かっている人が多いと感じます。

【母親にジャック・オー・ランタンについて聞いた場合】「私もこの格好の名前がジャック・オー・ランタンということしか知らないんですよ。」

 

【ここからはプレイヤーの自由に探索をすることができ、1行動1時間を想定。ある程度場所を書き出しておきますが、他にプレイヤーが希望する場所があれば積極的に取り入れていくと良い。】

【相手に気に入られる(星を獲得できる)かどうかは技能やステータスを用いて判定を行うと良いだろう。問題がなければプレイヤーが知っている他シナリオのNPCやPC達を登場させても面白いかもしれない。】

9.    広場

敷地が広がっており、見回せばハロウィンらしい格好をした人やアニメ・ゲームのコスプレをした人が散見する。

広場の中央には簡単なステージが用意され、看板には『審査員のSAN値を削れ!』と書かれた自由参加型のイベントが開かれている。壇上には5人の審査員がおり、それぞれ20点満点で判定し、最大100点得られるようだ。そして点数によって星型のバッチを貰えるらしい。

 

【イベントルール】

審査員1人につき、APP×5などで判定を行い、成功した場合は1D20を振る。失敗した場合は1D6を振る。出た数が審査員1人が出す点数。同様に残り4回繰り返し、点数の合計を出す。
貰える星型のバッチは、5~9点で1個、10~19点で2個、20~29点で3個、30~39点で4個、40~49点で5個、50~59点で6個、60~69点で7個、70~79点で8個、80~89点で9個、90~99点で10個、100点で100個貰える。

 

10.         レストラン

協賛というステッカーの張られたレストランにやってきます。

カボチャをくりぬいて作られたカップにカボチャスープ、お化けの顔が描かれたオムライス、一口サイズの料理にお化けが先っぽに着いたピック(プラスチック製の爪楊枝のようなもの)が刺さっているものなど、ハロウィンを意識した食事がメニューを飾っています。

 

探索者が食事をしようと席に着くと、いくつもの皿が積み上げられたそのテーブルに目が行くだろう。

そこには死人のように青白い肌で豚のような鼻と耳、湾曲した牙が口から伸びている。食事を取るその手はアヒルのような水かきが付いており、爪は鷹のように湾曲している。時折豚のようにブヒブヒとうめき声をあげるこの人物【ブタ人間(マレウスモンストロルムP.102)】を目撃した探索者は正気度ロール(0/1D6)を行う。

 

【ブタ人間に気に入られた場合】

「気に入ったブヒ、食事で貰ったこの星をあげちゃうブヒ」と食事で汚れた手で星型のバッチ1D10個を手渡してきます。

「そういえば、さっき “門”が開いた臭いがしたブヒ。邪悪な何者かがこのイベントに紛れ込んだみたいブヒから気を付けるブヒよ。」

「僕は食べるだけ食べたらお暇させてもらうブヒ。」

【門について聞いた場合】

「門っていうのは時空のゆがみみたいなものブヒ。異次元から何か来たみたいブヒね。」

 

11.         港(海辺)

海の方へ向かうと、貝やタコ、魚が網の上で焼いている仮設テントが見え、そこでは出汁の効いた粗汁なども販売しています。

 

探索者が港をうろついていると、全員が同じ格好をした団体を見つけるだろう。

頭部は魚のように楕円形で首元にはエラがついており、腹部は白くてツルツルした肌、背中には灰色かかった緑色の隆起した鱗と背ヒレがある。手には水かきが付いており、鋭くとがった爪がついています。

その団体は一人を中心に動いており、囲われた人物の右腕には他には無い、たくさんの目玉が付いたゼラチン質のようにプルプルしつつもネバネバした玉虫色の塊がくっついています。【深きものと、深きもののショゴス=トウシャ(マレウスモンストロルムP.98)】リアルすぎる半魚人の集団を目撃した探索者は正気度ロール(0/1D6)を行う。

 

その中心となっている人物は左手で串に刺さった魚を右手の塊に対して差し出し「美味しいですね」と話しかけるとうごめきながら「テケリ・リ♪」という音が聞こえます。そして中心となっている人物は魚を食べます。

【全員<アイディア>ロールを行い、失敗した場合】

それはまるで腹話術のように感じるだろう。

【全員<アイディア>ロールを行い、成功した場合】

右手の塊に魚を差し出した際に、魚が食いちぎられ塊の中に消えていったことに気が付きます。腹話術とは説明できない、あり得ない動きに見え、ある種独立した生物【ショゴス】なのではないかと考えが至り、正気度ロール(1D6/1D20)を行う。

 

【深きものに気に入れらた場合】

「気に入ったから一緒に貰ったこの星をあげよう」とぬるりとした水かきの付いた手で星型のバッチ1D10個を手渡してきます。星を受け取った探索者は気持ちぬるぬるしているように感じます。

【ショゴスに気に入られた場合】

「テケリ・リ」と声が聞こえます。「この子が貴方を気に入ったようですし、よろしければ連れて行ってください。」というとその玉虫色の塊は探索者の腕にくっつきます。「海に浸してくれれば、その子は勝手に離れて私の元まで帰るでしょう。」【探索者はアイテム「玉虫色のベトベトする塊」を獲得します。】

「強く念じればあなたの思う通りにこの子は動いてくれるでしょう。」と意味深な言葉を残して歩き去っていきます。

12.         船着き場

黒いガレー船が船着き場に止まっているのが見えます。そこではイソイソと荷物をガレオン船に運んでいく人たちが目に付きます。両側面の髪の中から小さな角が生えており、足は山羊のヒヅメのような形をしています。【レンの男(マレウスモンストロルムP.119)】このリアルすぎる獣人を目撃した探索者は正気度ロール(0/1D5)を行う。

 

【荷物について聞いた場合】

「夜になったら打ち上げる花火を積み込んでるんだよ。楽しみにしててよ。」

【長話になった場合】

遠くの方から目のないヒキガエルに似ていて、曖昧な形の鼻づらの先にピンクの短い震える触手が固まって生えている化け物が近づいてくる。【月棲獣(ムーン=ビースト)(マレウスモンストロルムP.45)】このリアルすぎる化け物を目撃した探索者は正気度ロール(0/1D8)を行う。この化け物は長い槍を振り回して怒りを表現しているようだ。持って作業員の男たちに指示をしている。

 

13.         救護所

救護所にくると仮設テントの中には沢山のパイプベッドが並び、医者や看護師が忙しそうに動き回っている。また、ストーブが炊かれており、濡れた燕尾服とカボチャを乾かすように干されており、タオルに包まれている子供がいる。

そこには血塗られたナース服を着る母親がおり、医者と話をしているのを目撃します。

医者は「今の時期の海水は20度と低く、5~10分浸かると内部の体温が下がり、低体温症に陥ってしまいます。今回はすぐに温めることができて大事にならずに済みましたが、子供の手をしっかりつないで離れないように気を付けてくださいよ。」と母親に注意している。

【<医学>や<応急手当>などを心得ている探索者は低体温症がどのようなものか知っているだろう。】低体温症とは体の末端ではなく、体の中心部の温度が下がった際に現れる症状のこと。初期症状では体と歯が震える。更に体温が下がると震えが止まり、思考や判断力が失われる。体温が31~28度まで下がると脈と呼吸がゆっくりになっていき心停止する。

 

探索者が救護所をうろついていると、全員が同じ格好をした団体を見つけるだろう。

蛇が直立しているような姿で蛇の頭と鱗がついており、2本の腕と2本の脚、後ろに伸びる尾を持っている。それは細長い舌をチョロチョロと出し入れしながらローブを羽織って歩いている。【ヘビ人間(マレウスモンストロルムP.104)】リアルすぎる蛇の姿をした人の集団を目撃した探索者は正気度ロール(0/1D6)を行う。

 

【ヘビ人間に気に入られた場合】

「気に入ったからこの星をあげよう。」と鋭い爪がある鱗に覆われた手を伸ばし、星型のバッチ1D10個渡します。「ついでにこの薬と飴をあげよう。魅了させたい相手に薬を飲ませて、飴を舐めて命令すると良い。」と一口分の液体が入った小さな小瓶【支配血清(基本ルールブックP.200)POTは3D6】と、飴【本シナリオオリジナル。獣臭いヘビの匂いがする飴で、蛇人間特有の匂いと抑揚で発音することができる。(支配血清の犠牲者に命令することができる)】を手渡します。

 

14.         森林公園

森林公園の方へ向かうと、7~15cmほどでふさふさした毛の生えた可愛らしいネズミを使ったレースが行われている。このネズミは北極近辺の地域に住むレミング(和名:タビネズミ)という品種であると説明されている。

【探索者が<生物学>などに通じているなら、レミングについて詳しく知っているかもしれない。】レミングは最近まで集団自殺をすることで知られており、集団移住の際に崖から海に飛び込む姿が目撃されていたことで誤解されていた。

 

探索者が森林公園をうろついていると、ぼさぼさの髪をしており、極端に長い耳、大きな目、そしてげっ歯類のような鋭い歯を持っている。彼らは飛び跳ねるような足取りで移動している。その姿はウサギの化け物のように見えます。【緑の神の子(マレウスモンストロルムP.110)】リアルすぎる獣の姿をした人の集団を目撃した探索者は正気度ロール(0/1D4)を行う。

 

【緑の神の子に気に入られた場合】

フサフサでフワフワとした手を伸ばし、星型のバッチ1D10個を渡されます。

15.         音楽堂

【これは例であり、探索者の技能に合わせてイベント内容や判定する技能を変えると良いだろう。】

音楽堂では自由参加型で対戦形式の喉自慢大会が開かれている。

カラオケの設備も置いてありそれを使って歌っている人がいれば、楽器を使った演奏による本格的なライブを展開するグループも見受けられます。

ヴァンパイアの格好をした司会者は「参加したい方はいらっしゃいませんか~?」と会場全体に声を掛けます。

 

【探索者が挙手した場合】

司会者は「そちらのお客様、ステージへどうぞ!」と促し、名前を聞いてきます。

司会が「他に参加したいお客様はいらっしゃいませんか?」というと他に挙手する人が現れ、同様にステージに促されます。

それは3人組でステージへ上がると一部で騒がしくなります。その3人組は金髪碧眼の美人高校生【アン・シャトレーヌ(クトゥルフカルトナウP.21)】。2人目は30代後半で口髭を生やし、銀色のメッシュ地状のシャツで銀製の杖を持った大柄な男【カール・スタンフォード(クトゥルフカルトナウP.21)】。3人目は美形の顔がプリントされたタオルを顔全体に巻いており素顔の見えないエレキギターを抱えた男【大矢口キャンサー(クトゥルフカルトナウP.22)】。

銀髪碧眼の美人高校生が司会者からマイクを奪い、探索者に向かって「私たち、バンド名『銀の黄昏』が相手よ!」と指をさしてきます。

【<聞き耳>などで騒がしくなっている方の声を聞き取ることができるだろう。】

会場は顔全体にタオルを巻いている人物を見て「ヘビメタバンド『シルバー・ブルー・メン』のギタリスト、大矢口キャンサーじゃね!?」という声が聞こえてきます。

司会者は「他に参加したいお客様はいらっしゃいませんか?」というと会場はざわつきながら誰も挙手しません。

 

【イベントルール】

Aメロ、Bメロ、サビの3か所で観客をどの位沸かせることができたかで勝敗を決める。

銀の黄昏バンドは35%で判定する。【大矢口キャンサーの芸術(エレキギターの演奏)95%、アン・シャトレーヌの芸術5%とカール・スタンフォードの芸術5%の平均値】

Aメロについて、技能などで判定し、成功で会場の【2D10】%から歓声が湧く。失敗で【1D10】%の歓声を湧かせる。

Bメロについて、技能などで判定し、成功で【2D10】%の歓声が更に湧き上がる。失敗で【1D10】%の歓声が更に湧き上がる。

サビについて、技能などで判定し、成功で【6D10】%の歓声が更に湧き上がる。失敗で【3D10】%の歓声が更に湧き上がる。

 

司会者は「どちらがよかったですか!?拍手でお応えください!」と言い、探索者と銀の黄昏を交互に聞いていきます。

司会者は「勝者は…【歓声の多かった方】です!おめでとうございます!」「健闘を見せてくださった【探索者】と銀の黄昏には星型のバッチを差し上げます!」と言って星型のバッチ【歓声に合わせた数】が進呈されます。

【貰える星型のバッチは、5~9%で1個、10~19%で2個、20~29%で3個、30~39%で4個、40~49%で5個、50~59%で6個、60~69%で7個、70~79%で8個、80~89%で9個、90~99%で10個、100%で100個貰える。】

 

【銀の黄昏に勝つ】

金髪碧眼の高校生は体を震わせ涙を浮かべながら「今回は貴方に勝敗が上がったみたいね。悔しい!悔しいわ!」

そういうと、口髭を生やした大男の手から銀製の杖【カール・スタンフォードの仕込み杖】を奪い、探索者に突き出してきます。「これは再開の約束よ!来年はそれを取り戻しに参加するんだから、覚えていなさいよ!」

【銀の黄昏に負ける】

金髪碧眼の高校生は両手を腰に置き、フフンと言わんばかりに見下して見せます。「ま、私たち銀の黄昏を相手によく戦ったわ!そんな貴方を称えてあげますわ。」

そういうと、口髭を生やした大男の手から銀製の杖【カール・スタンフォードの仕込み杖】を奪い、探索者に突き出してきます。「これは再開の約束よ!来年はもっと力をつけてそれを突き返せるくらい圧倒させてくれることを期待するわ!」

受け取ると探索者はPOWが1減少し、杖には121のマジックポイントが入っている感じがします。

 

16.         教会

浮かれた町の様子から隔離され、敷地内は凛とした面持ちの教会があります。教会の裏には墓地が広がっている。

 

教会の中

教会の中にはロザリオを首から下げたシスターがいます。探索者が入ってきたことに気が付いたシスターは話しかけてきます。

「普通の弾丸が通用しない吸血鬼や魔女などを撃退するのに銀の弾丸が使われます。」

「銀は昔から毒として使われていた硫化ヒ素と反応して黒く変色する性質があり、毒殺を避けるのにも役立っていたんです。そういった経験から銀には病をもたらす未知の存在へ対抗する手段として知られていったんですね。そうした背景から悪魔にも銀が有効と考えられたんですよ。」

「ここは神聖な場所なので悪魔は入ってきてはダメですよ。このロザリオも純銀製ですから。」といってロザリオを探索者にピトっとくっつけて微笑みます。

【救護所で貰える『惚れ薬』を使えばシスターの説得、連れ出すことが難なくできるだろう。また、のっぴきならない形相で訪ねて来たのなら親身に対応してくれるだろう。】

 

【ジャック・オー・ランタンについて聞いた場合】

「地獄には絶対に連れていかない契約を悪魔と取り交わした人のことですね。生前、悪行を重ねたことで天国に行けず、かといって契約のため地獄にも行けず、悪魔から貰ったランプを持って現世を彷徨っている悪魔です。」

 

裏の墓地

教会の裏には閑散とした墓地が広がっています。そこには犬のように尖った口の中に鋭い牙を持ち、鋭い鉤爪の付いた手、蹄のような脚をしている。その皮膚は動物と異なり、弾力のあるゴムのように見えます。【食屍鬼(マレウスモンストロルムP.56)】リアルすぎる獣の姿をした人の集団を目撃した探索者は正気度ロール(0/1D6)を行う。

 

【食屍鬼に気に入られた場合】

唸るような声を出しながら鉤爪の付いた手を伸ばし、星型のバッチ1D10個を渡されます。

 

17.         美術館

広々とした空間が広がり、静けさが重苦しい空気を漂わせます。壁にはディストピアをテーマとした絵画が飾られている。

美術館を進んでいくと一際広い大きな部屋に辿り着きます。そこには一つの大きな絵画が飾られている。その絵画には、荒廃した夜の世界でボロボロの黄色い衣装を纏った人物が立ち、その横で少年が呼笛を吹き、その周りをカラスの腐乱死体が飛び回っている様子が描かれている。そしてその絵画をじっと見つめる人物がいます。

その人物はボロボロの黄色の衣装を纏い、先のとがった靴が衣装の下から覗かせる。頭には細かい絹の飾りが垂れ下がっているフードを被り、蒼白の仮面を付けている。【黄衣の王(マレウスモンストロルムP.238)】

 

【魅了しようと試み、気を引くことができたのであれば】

その人物はダンスに誘うように手に当たる長い黄色い衣装の袖のを持ち上げ差し出します。差し出された手に手を添えると突然探索者の手を引っ張り社交ダンスを始めます。その人物の動きは完璧でありダンスを知らない人であってもその動きに見惚れるだろう。【POW35とのPOW対抗を行う。】

ダンスを終えるとあまりの素晴らしさにその場から動けずにいる。ダンスを終えたその人物はぐいっと後ろに腕を回し、探索者の体を寄せる。呼吸が乱れた様子もなく蒼白の仮面が探索者を見つめる。

【もし、POW35とのPOW対抗に失敗した場合はこの行の描写する】

すると突然全身の毛が逆立ち悪寒を感じ始める。探索者は空気が重たく感じ、呼吸も浅く荒々しくなり苦しく意識がぼんやりと遠くなっていく感覚に襲われ、正気度(1D6)を失う。

その人物は貴方の顔を見ながら、手に星型のバッチを1D5個握らせます。

【もしPOW35とのPOW対抗に成功した場合はこの行を描写する】

その人物は貴方の顔を見ながら、手に星型のバッチを1D10個と首紐のついた呼笛を握らせます。

18.         夕方(結果発表)

【探索に満足したようであれば描写する】

夕方になり暗くなってくると町全体にアナウンスが流れます。「ハロウィンイベントの参加者は受付にて星のバッチの集計を行います。グループで集計する場合はその旨を伝えてください。結果発表は港で花火ショーと一緒に行いますので、案内に従って港へ向かってください。」

受付へ向かって集計をすると「今のところ私が集計した中では暫定一位ですよ」と声を掛けてきます。

集計を終えた探索者に受付の人は「これからすぐに暗くなりますから、港までの道はランタンを掲げたスタッフがおりますので、そのスタッフに従って進んでくださいね。」

港のへ向かう道は大きな人の列となり、途中でドラキュラやら狼男の格好をした人が道を明るく照らすLEDのランタンを掲げながら「このまま真っすぐ進んでください!」と声を上げているのを見かけます。

【全員<アイディア>を振り、成功した場合】

町を挙げて行われており、何万人もの参加人数がいることを考えると港に入りきるのか疑問に思うだろう。しかし、その疑問に反して人の列は詰まることなく、一定の速度で進み続けていることに気が付きます。

ついに港が見えます。そこではスタッフ同様にランタンを掲げている燕尾服のカボチャ頭の大人が居ます。そのランタンは先ほどまでのスタッフが持っていたLEDのランタンと異なり、ニタニタと笑う表情にくり抜かれたカボチャで、その中で炎がユラユラと揺れ動き辺りを照らしています。

そのランタンの炎を見た探索者はPOW対抗を行います。所持している星のバッチの数だけPOWが上がっていることを感じます。【(ジャック・オー・ランタンのPOW35とのPOW対抗)】

そのカボチャ頭は「『真っすぐ』進んでください。『真っすぐ』ね。」とカボチャ頭の大人が言います。

探索者が並んでいる列は港で広がったり止まったりせず、何万という人が真っすぐ進んでそのまま海へと入っていきます。海へ入った人は泳ぎながら沖へと進む人がいれば、溺れながらも沖へと全員が進んでいく人が見えます。

【POW対抗に失敗した場合】

探索者は霞掛かったように意識が朦朧とします。カボチャ頭の男が言った『真っすぐ進んでください』という言葉が頭から離れず、海に向かって真っすぐ進んでいきます。(探索者は海へ向かってひたすら真っすぐ進み、やがて沖へと向かっていく。)

【ここから先はPOW対抗に成功した探索者のみ】

カボチャ頭をしたその男を見て、声を荒げて逃げ出そうとする人が列から離れようと駆け出します。その人に向かって「列を乱さないように!」と言ってカボチャのランタンを投げつけます。するとランタンの当たった部分から不自然にグチャリと潰れるような音がします。十分に煮立たせ柔らかくなったカボチャに叩きつけたかの様に、その頭は潰れて抉れています。自分たちもカボチャのランタンで殴られたら同じように潰され即死することが容易に想像でき、このカボチャ頭の男の恐ろしさを理解した探索者は正気度ロール(1/1D8+1)を行う。そして投げつけたはずのカボチャのランタンはカボチャ頭をしたその男の手元にふっと現れて戻ってくるのを目撃します。

その男から得体のしれない恐ろしさを感じ、逃げ出したい気持ちにかられます。再度POW対抗をします。

【2度目のPOW対抗に失敗した場合】

貴方はその底知れない恐怖心から逃れようと列から離れてしまいます。そして探索者の方をカボチャ頭の男が振り向き「列を乱さないように!」と言われます。(強制的にここから戦闘となります。探索者はこのカボチャ頭の男を倒すことでも恐怖心から逃れられることを理解しても良い。)

【2度POW対抗に成功した場合】

その恐ろしさをひしひしと感じながらも意志を強く保つことができます。自分自身が列から離れなければカボチャ頭の男に狙われることはないが、カボチャ頭の男を早くどうにかしなければ、並んでいる列はやがて海に到達してしまうだろう。【列に並んだままショゴスを駆使したり、ビヤーキーを招来・従属したりしてカボチャ頭の男を攻撃させることができる】

 

19.         戦闘

カボチャ頭の男は列から離れた人物と呼び出されるであろうショゴスとビヤーキーに向かって『カボチャを投げる』。もし、戦闘が厳しいと判断するのであれば、不定形のショゴスへの攻撃はSIZを1D20減らす(ダメージボーナスも減る)、銀製品での受け流し、探索者への攻撃をショゴスやビヤーキーに庇わせる等といった調整を行うと良いだろう。

【首紐のついた呼笛を使う】

(MP1につき10%の確率でビヤーキーを1体招来・従属することができる。)絵画で見たような巨大な腐ったカラスのような化け物(平均SIZ18)が空から探索者の元へと飛んできます。その化け物は極度に冷え込んでいるのか、ヒヤリとした空気が探索者を撫でます。

【玉虫色のベトベトする塊に念じる】

海の中から5メートルを超える巨大な玉虫色のベトベトする塊(SIZ84)が姿を現す。その巨体からは「テケリ・リ」と不気味な声が聞こえます。

【列から外れない(海から沖へ進む)】

1ラウンド:探索者の膝に秋の海の水が掛かる。(CON×5で判定し、失敗でCONを1減少する)

2ラウンド:探索者は腰まで海に浸かる。時折くる波の力が探索者の体を揺らす。(CON×4で判定し、失敗でCONを1減少する)

3ラウンド:探索者は首元まで海に浸かる。ついに足の付くギリギリの水深ということが分かる。(CON×3で判定し、失敗でCONを1D2減少する)

4ラウンド:探索者は全身が海に浸かる。足は付かず、泳いで沖へと向かっていく。海の冷たい水が探索者の体温と体力を奪っていく。(CON×2で判定し、失敗でCONを1D3減少する)

5ラウンド以降:探索者は暗い海を沖に向かって泳ぎ続ける。海の冷たい水が探索者の体温と体力を奪っていく。(CON×1で判定し、失敗でCONを1D3減少する)

【CONが0になった場合】

探索者は頭がぼんやりとし、あんなに冷たく感じた海の水も今では冷たいのかどうかさえ分からず、体の感覚がなくなっていきます。探索者はそのまま泳ぐこともできず海の中へと沈んでいきます。【心肺蘇生で蘇生できるかどうかは幸運や応急手当などで最後に判定すると良い。】

【カボチャ頭の男を倒す】

カボチャのランタンの中の火が燃え移ったかのように、カボチャ頭の男の目と口から煙が噴き出て、火が上がります。その火は炎となって全身を包み、声にならない声が港に響き渡ります。男の体は炎と共に縮んでいき、炎が消えるとそこには何も無く、燃え上がってできた煙だけが空へと昇っていきます。

20.         戦闘後

カボチャ頭の男を退けると、列に並んでいる人たちが一斉に正気を取り戻します。しかしすでに多くの人が沖へと出てしまっている人がおり、阿鼻叫喚が上がります。

そして町全体にアナウンスが流れます。「人命救助のため、本日のハロウィンイベントは中止とさせて頂きます。」

【ビヤーキーやショゴスを使役などして助ける】

探索者が巨大な腐ったカラス・巨大な玉虫色のベトベトする塊を使役し、海の中の人達に巨大な化け物が近寄ると一斉に悲鳴が上がります。化け物は海の中の人を持ち上げて陸へと上げていく。

港にはいつの間にか町中から医者が集まり一斉に応急手当、心肺蘇生が行われ、沖へ船が出され救助活動が行われます。

海上からはいくつもの花火が打ち上げられ、沖に流されている人の姿を照らし出します。探索者もその明かりを頼りに人命救助を行うだろう。

【ビヤーキーやショゴスを使役しないで(人手だけで)助ける、もしくは助けない】

港にはいつの間にか町中から医者が集まり一斉に応急手当、心肺蘇生が行われ、沖へ船が出され救助活動が行われます。

海上からはいくつもの花火が打ち上げられ、沖に流されている人の姿を照らし出します。海を漂う何万という人たちは沖からの波によって次々と海中へと飲み込まれていく様を目撃してしまう。探索者は身近な自然の恐ろしさと人間の無力さを痛感することだろう。

 

21.         エンディング

ハロウィンを終えて疲れた体を癒すために眠りにつくだろう。

【玉虫色のベトベトする塊を所持している場合】

探索者は玉虫色のベトベトする塊を海に帰す夢をみる。
起きるとまるで夢であったかのように腕の玉虫色のベトベトする塊は無くなっている。

【首紐のついた呼笛を所持している場合】

温かい朝の明かりが差し込んでおり、呼笛は黒く変色しひび割れていた。

後日、探索者は自分たちが参加したハロウィンイベントについての記事を見つける。

【ビヤーキーやショゴスを使役などして助けた場合の記事】

先日行われたハロウィンイベントでは何万人もの人の列が海から沖へと向かうといった集団自殺行為が行われた。

その様子を見ていた関係者は「海へ身投げして集団自殺をするネズミ、レミングのようだった」と話す。

その後、信じられないことに突如本物の悪魔が港に姿を現したという。ハロウィンイベントで悪魔の格好をしていたのが幸いしたのか、その悪魔が沖から次々と人々を救助したというのだ。

本件について何万人もの集団自殺行為があったにも関わらず死亡報告は受けていない。悪魔の所業ではなく、悪魔の偉業を成し遂げたのだ。

【ビヤーキーやショゴスを使役しない(人の手だけ)で助けた、もしくは助けなかった場合の記事】

先日行われたハロウィンイベントでは何万人もの人の列が海から沖へと向かうといった集団自殺行為が行われた。

その様子を見ていた関係者は「海へ身投げして集団自殺をするネズミ、レミングのようだった」と話す。

その後、多くの人の手で必死の救助活動が行われたが何万人もの集団自殺行為を止めきることはできなかった。

本件について町は責任を迫られ「原因究明と再発防止に全力を注ぐ」とコメントしている。

この日の出来事は『レミングスハロウィン事件』と名付けられ、世間に広く認知されることとなった。

 

22.         結末

ハロウィンイベントの出来事はまるで夢でも見ていたかのようにも感じるかもしれない。しかし確かにあった現実ということを星型のバッチが示すだろう。探索者は自分が持っている星型のバッチの数だけ正気度を獲得する。

 

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